■口頭説明や台帳作成求める
厚生労働省は、薬局が血糖自己測定等の簡易検査を行う場合の具体的な手続きや留意点を示した「検体測定室に関するガイドライン」を公表した。簡易検査を行う薬局等の事業者は、厚労省に「検体測定室」の届け出を行うこととし、血液を扱うための感染防止対策や血糖測定器等の精度管理、さらに標準作業書や作業日誌、台帳の作成等を求めている。
臨床検査技師法の告示が一部改正され、薬局で自己血糖測定の簡易検査が可能となったことを受け、厚労省と経済産業省は3月31日、基本的な法令解釈に関するガイドラインを示している。今回のガイドラインは、衛生検査所の登録が不要な薬局等の施設を「検体測定室」と定め、簡易検査を行うための手続きや留意点を具体的に示したもの。
指針では、薬局等の診療の用に供しない簡易検査の実施施設を「検体測定室」と定義。検体測定室を開設しようとする薬局等は、開設7日前までに厚労省医政局指導課に届け出ることを求めた。届け出には、衛生管理を含めた薬剤師の運営責任者、精度管理を行う責任者を記載し、測定項目の内容も届け出る。
薬局で血糖等を測定するに当たっては、検査を受ける人に対し、特定健康診査や健康診断ではないこと、検体採取や採取前後の消毒・処置は検査を受ける人が行うこと、測定結果は検査を受けた人が判断するものであること、穿刺による疼痛や迷走神経反射が起こる可能性があることなど11項目を口頭で説明し、同意を得て承諾書をもらうこととしている。
測定結果については、測定値と測定項目の基準値のみにとどめるものとし、検査を受けた人から測定結果による診断等に関する質問があった場合、薬剤師が回答せずに、かかりつけ医に相談するよう助言することとした。また、不特定者の血液を扱うことから、標準予防策や手指衛生など、感染防止対策の徹底を求めている。
自己血糖測定器等の穿刺器具については、薬事法で承認された使い捨てタイプで、使用後の危険が解消されているものを使うこととした。
機器の精度管理も求め、薬局ごとに薬剤師の精度管理責任者を置き、精度管理責任者による定期的な内部精度管理を行い、年1回以上、外部精度管理調査に参加することとした。
検査を受けた人の急変時に対応できるよう物品を常備すると共に、救急隊への通報体制について手順書を作成し、薬局に掲示することを求め、近隣の医療機関と連携を図り、事前に医療機関に協力を依頼することとしている。
さらに、標準作業書の作成や作業日誌のほか、検査を受けた人の名前や連絡先を保存するための台帳、測定機器の名称、製造者、型番、修理、廃棄を記録するための台帳、試薬の購入記録や数量管理を行うための台帳、内部・外部精度管理調査の結果を整理した台帳の作成も求め、これを20年間にわたって保管することとしている。