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東北大 免疫病の発症を抑制する細胞内タンパク質TRAF5を発見

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2014年04月08日 PM06:00

米ラホヤ研究所との共同研究で発見

東北大学大学院医学系研究科免疫学分野の宗孝紀准教授、石井直人教授らの研究グループが、米ラホヤ研究所との共同研究により、免疫病の発症に関わる炎症性リンパ球の活動を、TRAF5という細胞内タンパク質が抑制することを発見した。3月31日、同大学より発表されたほか、研究成果の詳細は、現地時間3月30日付の英科学雑誌「Nature Immunology」オンライン版で公開されている。

(画像はプレスリリースより)

抗原とまだ接触していないナイーブ(CD4+)T細胞は、抗原受容体シグナル(シグナル1)、補助刺激受容体シグナル(シグナル2)、サイトカインであるIL-6の受容体シグナル(シグナル3)により、ヘルパーT細胞へと分化する。STAT3を介したIL-6受容体シグナル伝達は、病原性ヘルパーT細胞であるTh17細胞の分化に重要な役割を果たし、自己免疫性疾患発症につながる。

この働きのなかで、558アミノ酸から成る細胞内タンパク質のTRAF5は、IL-6受容体の細胞内領域に結合することで、STAT3の活性化を阻害し、結果としてTh17細胞の分化を抑制、同細胞によって誘導される免疫病の発症を抑制することが明らかになったという。

さまざまな炎症性疾患の治療法開発に期待

TRAF5は、TNF受容体ファミリー分子の細胞内領域に結合するアダプタータンパク質として同定されたもので、従来、TNF受容体スーパーファミリー分子群が関与するシグナル伝達において、炎症性シグナルを促進する機能をもつことが示唆されていた。

今回の研究では、このTRAF5がサイトカイン受容体であるgp130に結合することで、IL-6シグナルを抑制するという意外なシグナル伝達機構が初めて見出された。この発見により、多発性硬化症や関節リウマチなど、さまざまな自己免疫疾患や炎症性疾患の新たな治療法や薬剤開発が進むと考えられる。また、TRAF分子群を介したさらなる炎症性シグナル制御機構の存在も示唆され、今後の研究進展も期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/

The adaptor TRAF5 limits the differentiation of inflammatory CD4+ T cells by antagonizing signaling via the receptor for IL-6
http://www.nature.com/ni/journal/vaop/ncurrent/

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