ウイルス細胞内での遺伝子複製を阻害
富士フイルムグループの富山化学工業株式会社は3月24日、錠剤タイプの新しい抗インフルエンザウイルス薬「アビガン(R)錠200mg(一般名:ファビピラビル)」が製造販売承認を取得したことを発表した。
(画像はプレスリリースより)
現在のインフルエンザ治療では、ウイルスが感染した細胞内で遺伝子の放出を防ぐノイラミニダーゼ阻害剤が使用されているが、ファビピラビルはウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐという。この新しいメカニズムを持つこの薬剤は、RNAポリメラーゼ阻害剤と呼ばれる。
このような同剤の特徴により、鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)、A(H7N9)に対しての抗ウイルス作用が期待されており、実験動物においては有益な効果が確認されているという。
国が判断した場合、患者への投与が検討
ファビピラビルは、ただちに医家向けに販売されず、厚生労働大臣から要請を受けて製造・供給等が行われる。新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生して、当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に患者への投与が検討されるという。
富山化学では、ファビピラビルに対して厚生労働大臣から製造要請があった場合に備え、流通管理と安全対策に十分留意しつつ速やかに対応ができるよう、安定供給体制を構築していくとしている。(伊藤海)
▼外部リンク
富山化学工業株式会社 ニュースリリース
http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/