■後発品加算に高いハードル
厚生労働省保険局医療課の近澤和彦薬剤管理官は、本紙のインタビューに応じ、2014年度調剤報酬改定について、「かかりつけ薬局の機能をシンプルに評価した」と述べ、24時間対応の薬局や在宅医療関連の点数を手厚くしたことを明らかにした。また、「後発医薬品調剤体制加算」について、後発品のある先発品と後発品を分母にした今回の要件では、「大型後発品が出れば後発品の調剤率はがくっと落ちる」と述べ、半年ごとの後発品収載時に後発品の調剤率が落ちていく仕組みになっているとし、薬剤師によるさらなる使用促進に期待を寄せた。
調剤報酬改定の基本的な考えについて、「地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割をどう評価するかということに尽きる」と述べ、24時間対応のかかりつけ薬局に対する評価を手厚くし、在宅医療関連の点数を引き上げたとした。
在宅業務の質を確保するため、基準調剤加算の算定要件を厳格化すると共に、在宅患者訪問薬剤管理指導料を「薬剤師1人につき1日に5回」に制限するなどの措置を講じたとした。
ハードルの高い要件設定となった「後発医薬品調剤体制加算」については「薬剤師は後発品の使用促進を行って当たり前と思われている中で、これまで以上に在庫を揃えて手間暇かけて説明するという姿勢が必要になる」と理解を求めた。
その上で、「後発品のある先発品と後発品を分母にした今回の要件では、分母が固定しなくなる。つまり、半年ごとの後発品収載時に後発品とその先発品は増えるので、大型後発品が出れば後発品の調剤率はがくっと落ちる」と説明。分母が増えれば、「これまで以上に後発品を調剤しないと、さらに落ちていく。薬剤師のさらなる頑張りに期待している」と述べた。
一部の薬局が1枚の紙を折って表に「お薬手帳」と印字しただけの“名ばかり手帳”については、「手帳としての機能を果たしていないので、表題を『お薬手帳』にしたところで、認められない。記載スペースがほとんどなく、その人の薬の歴史にならないので全く意味がない」と切り捨てた。
ただ、慢性疾患などで定期的に医療機関を受診している患者が手帳を忘れた場合などに、次の来局時に手帳を一つにまとめることを条件として、新しい手帳を交付することを「認める方向で考えている」とした。
病院薬剤師に関連する改定については、薬剤師による抗癌剤の副作用管理を評価する「がん患者指導管理料」(200点)が新設されたことや、病棟薬剤業務実施加算の継続が決まり、療養・精神病棟に関する算定制限が4週間から8週間まで緩和されたことなどに触れ、「実質プラス改定」との認識を示した。
その上で、今後、新規の抗癌剤の開発、上市が予想されることを踏まえ、「がん患者指導管理料」は「特に重要になる」と強調。新規抗癌剤の作用機序や副作用などを理解するためには、「PMDAの審査報告書を読み解かなければならなくなり、それがDI室の重要な業務になってくる」と述べ、DI室の役割に期待を寄せた。