脳卒中の発作を起こした人たちの中には、ひどい倦怠感、疲労感を訴える人がいます。この症状がどうして起こるのか調べてみても、身体的に原因が見当たらないことが多いそうです。デンマーク・コペンハーゲン大学の調査によると、脳卒中発作を起こす前の生活に戻ろうとすることが、症状を引き起こすと考えられるとのこと。同研究チームでは、脳卒中発作以前の生活にこだわらず、新しい生活習慣を作り上げる方がよい、と指摘しました。
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脳卒中の発作と、それに続いて身体がこれまでのように動かなくなるという出来事は、経験者の多くにとって、まさに青天の霹靂のような出来事です。
この調査は、デンマークの病院の協力を得てデータを得ています。この調査によると、脳卒中の発作によって起こった影響の大きさと、患者さんが感じるひどい倦怠感には関係があることが分かりました。
不思議なことに、倦怠感は人それぞれに、モノや行動など「何か」にリンクしていることが多く見られました。ある女性は、脳卒中の発作の後、通常の生活を送るようになったものの、買い物から帰って自転車をロックするとどっと疲れて、ソファーに座り込んでしまい、その日はもう何もできないという状況にありました。彼女は、これに気付いて、自転車をロックすることをやめたのです。不思議なことに、その後、倦怠感が表れず、帰宅後も様々な家事ができるようになったと言います。
倦怠感を引き起こす「何か」は、コーヒーカップのこともあるし、電話に出ることかもしれません。発作前には、何ともなかったことが、実はひどい疲労感を引き起こしていることに気づいていないことがあるのです。
このため、発作前の生活に戻ろうとしたときに、何かを見たときや、何かをしたときに、ひどい疲労感を覚えることがあるかをよく観察し、その部分の生活習慣を新たなものに変えることで、疲労感を感じなくなることが期待できるとのことです。
なんだか不思議な話ですが、やみくもに「元の」生活に戻ることを目指さず、新しい状況に馴染んでいくことが大切と言えるようです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Stroke patients may benefit from new routines
http://news.ku.dk/all_news/2014/03/