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大塚製薬の「サムスカ」 世界初のADPKD治療薬として日本で承認を取得

読了時間:約 1分25秒
2014年04月02日 PM03:00

腎臓希少疾病ADPKD治療薬として世界に先駆け承認

大塚製薬株式会社は3月24日、同社が創製した「(R)錠7.5mg、15mg」(一般名:トルバプタン)について、腎臓の希少疾病である、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の追加効能承認を世界に先駆けて取得したと発表した。また「サムスカ錠30mg」はADPKDの効能で新たに承認を取得している。

のう胞が多数でき、腎臓が肥大する遺伝性疾患であるADPKDは、希少疾病のなかでも患者数が多く、日本に約3万人、欧州で約20万人、米国で約12万人の患者がいるといわれている。進行に伴い高血圧、血尿、腹部の痛みなどが現れ、次第に腎機能が低下、70歳までにはその約半数が末期腎不全に至る。これまでADPKDに対する治療薬は存在せず、根本的な治療方法も確立されていなかったことから、開発が待望視されていた。

(画像はwikiメディアより引用)

プラセボ群と比較し、容積増加を約50%抑制

サムスカはバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、水のみを出す利尿剤として世界14カ国・地域で用いられている。一方で、同剤のバソプレシンV2-受容体を介したcAMP産生抑制により、ADPKDの腎のう胞の増殖・増大を抑制することが新たに発見され、大塚製薬では2004年からADPKD治療薬としての開発を進めてきていた。

世界15カ国1,400人以上のADPKD患者を対象とする国際共同臨床試験(TEMPO3:4試験)では、プラセボと比較し、腎臓の容積増加率を約50%有意に抑制することが確認されている。この試験結果は、2012年11月に「The New England Journal of Medicine」に掲載された。

欧州では2013年12月に申請が受理され、米国ではFDAの審査完了通知を受け、追加データなどの協議中となっているなど、日本以外の地域での展開に向けての取り組みも進行中だ。

サムスカはADPKDの患者において病気の進展を抑制する初めての治療薬となり、今後ADPKDの治療発展に寄与することが期待される。なお、この処方に関しては、適正使用についてのe-Learningを受講した医師(登録医)のみ可能とされている。(紫音 裕)

▼外部リンク

大塚製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.otsuka.co.jp/company/release/

 

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