■要因の一つに学生の質低下
厚生労働省は3月31日、第99回薬剤師国家試験の結果を発表した。受験者数1万2019人のうち、合格者は7312人で合格率は60・84%だった。合格率は、前回の79・10%から18ポイントほど低下。1995年の第80回以降、空白期間の10年(第95回)、11年(第96回)を除き最も低い水準となった。厚労省は、試験問題の難易度について「上げたという認識はない」としており、合格率が下がった要因について、「一概には言えないが、学生の質が低下したのではないか」と分析した(表参照)
国試は、1万4039人が出願したが、受験者は1万2019人で、このうち1万1339人が6年制卒だった。「6年制新卒」の合格率は70・49%だったが、「6年制既卒」は39・85%と低かった。また、旧4年制卒を含む「その他」は13・24%だった。
試験結果を男女別に見ると、男性は5052人が受験して3060人が合格、女性は6967人が受験して4252人が合格した。合格率は男性60・57%、女性61・03%となっている。
大学の設置主体別の合格者数は、国立が447人(合格率69・95%)で、うち6年制新卒が400人(83・16%)、6年制既卒が16人(34・78%)、その他が31人(27・68%)だった。
公立は181人(70・98%)で、うち6年制新卒161人(79・70%)、6年制既卒7人(35・00%)、その他が13人(39・39%)。私立は6684人(60・08%)で、6年制新卒5658人(69・52%)、6年制既卒980人(39・98%)、その他46人(8・60%)だった。
大学別で最も合格率が高かったのは、金沢大学の92・50%。合格率が9割を超えたのはこの1校のみで、前回の12校から大きく減った。最も低かったのは第一薬科大学の13・22%。このほか、2校が合格率3割に届かなかった。
また、一般問題(薬学実践問題)の問328で不適切な記載があり、正解となる選択肢がなかったため、全員を正解とした。
合格率は、初めて6年制薬剤師を輩出した前々回が88・31%と高く、前回も80%台には届かなかったものの、平均的な合格率を維持していた。旧4年制国試の合格率も空白の2年間を除けば、70%から80%台半ばで推移していたことを考えると、今回の60・84%はかなり低い水準といえる。
厚労省は、医療現場で通用する実践力などを確認するため、ある程度、基礎的な知識を応用して回答する問題は出しているものの、「極端に問題を難しくしたという認識はない」とした。
その上で、6年制既卒者の合格率が39・85%と低く、平均点を大きく押し下げる結果となったこと、6年制新卒者の合格率も70・49%と決して高いとはいえない水準だったことなどを踏まえ、学生の質低下を要因の一つに挙げた。
表:第99回薬剤師国家試験大学別合格者数