■薬学会代議員総会
日本薬学会は27日、熊本市内で代議員総会と理事会を開き、2015~16年度の日本薬学会会頭に副会頭の太田茂氏(広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)が就任することを正式に承認した。また、任期1年の14年度新任副会頭として、来年3月に神戸市で開く第135年会の組織委員長を務める小林資正氏(大阪大学薬学研究科教授)を選出した。このほか、14年度の事業計画や予算を承認した(2面に関連記事)
総会であいさつした現会頭の柴崎正勝氏(微生物化学研究会微生物化学研究所常任理事・化学系所長)は「創薬、育薬をバランスよく発展させていくために日本薬学会は様々な方策を立てて、それを実現しつつある。かなりの計画が具体的なものになってきつつあると自負している。今回の年会を通じて創薬に関わる方々、育薬に関わる方々が議論し、1プラス1が3になるような結論を出して、それを薬学会に問題提起していただきたい」と語った。
総会では、13年度決算を承認したほか、14年度の事業計画、予算を報告した。
14年度は、6年制薬学教育の上に設置された4年制博士課程への進学を促進することを主目的に、同課程大学院生を主な対象として費用を支援する「長井記念薬学研究奨励支援事業」の開始に向けて作業を進める。同事業に活用する資産として13年度、14年度に各3000万円、計6000万円を積み立てる。以降も必要に応じて積み立てを続ける予定だ。また、薬学部以外の学生が創薬に憧れ、薬学大学院修士課程に進学を希望するようにアピールする講演会を、全国で積極的に開催する。
さらに、薬学会の会員数減少が大きな問題になっているため、原因の分析や対策を進める。14年度も約500人の会員減を見込んでいる。6年制薬学教育の開始に伴って学生会員数が減少すると危惧されたが、今のところその影響は予想より小さい。一方、30~40代の企業研究者の退会が会員減の大きな要因となっていることから、創薬研究の情報を早く豊富に得られる米国の学会を参考に、薬学会年会のさらなる充実を図って退会を防ぎたい考えだ。
14年度の経常収益は約11億3664万円、経常費用は約9億6204万円。主な事業として▽学術3誌の発行や学術研究集会の開催など学術研究・教育活動の推進▽会誌やウェブサイトなどでの学会情報の配信▽他機関との交流協力やグローバル化の推進▽学会基盤の整備・確立――などに取り組む。
総会ではこのほか、関谷剛男氏を名誉会員として承認した。総会後には薬学会賞、学術貢献賞、学術振興賞、奨励賞など各賞の授与式を行った。