インフルエンザの予防注射は、インフルエンザそのものだけではなく、脳卒中のリスクも低下させることが分かりました。イギリスのリンカーン大学ら調査チームが明らかにし、専門誌「Vaccine」に論文が掲載されています。
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脳卒中の原因が完全に分かっているわけではありませんが、喫煙歴、高血圧などは、脳卒中を起こした人たちの半分近くに見られていることは、よく知られています。また、こうしたこととは別に、冬になると脳卒中や心臓発作が増えることは、多くの人が認識している事実です。
データは、イギリスの国内の医療情報データベースより抽出。調査では、脳卒中または一過性脳虚血発作を起こした47,000人分のデータを使って、インフルエンザの予防注射を受けた人と受けなかった人の脳卒中のリスクに違いがあるかを分析しました。また、比較のために、肺炎球菌ワクチンを受けた人と受けなかった人も分析の対象にしました。
すると、インフルエンザの予防注射を受けた人たちの脳卒中リスクが24%減少することが分かりました。この効果は、インフルエンザの流行シーズンに先立って接種を受けていた人たちの間で特に強い関連が見られていました。一方で、肺炎球菌ワクチンと脳卒中のリスクには関連は見られなかったので、この効果がインフルエンザのワクチンに限られたものだと解釈されました。
2010年には同調査チームが、インフルエンザの予防注射が心臓発作のリスクを低下することを発表しており、今回の調査結果を含め、インフルエンザの予防注射は心臓血管系の病気の予防にも役立っていることが分かりました。
インフルエンザの季節も終わりを迎えつつありますが、このような報告を聞くと、予防注射の重要性が再認識されますね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Influenza and pneumococcal vaccination and risk of stroke or transient ischaemic attack—Matched case control study
http://www.sciencedirect.com/science/
Seasonal flu vaccine may cut stroke risk
http://www.lincoln.ac.uk/news/2014/02/848.asp