特殊な標識法を用いてニューロンを区別
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部は3月17日、同大大学院薬品作用学教室の池谷裕二准教授らのグループが、記憶の脳回路痕跡を発見したことを発表した。研究成果は、アメリカの科学誌「Nature Neuroscience」オンライン版に掲載された。
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研究グループは、特殊な標識法を用いて記憶に関与したニューロンをそうでないニューロンと区別し、記憶に関与したニューロンが脳スライス標本内でも優先的に活動することを発見したという。
さらに脳は、記憶の再生を極めて精細な興奮性調節に基づいて行っていることが、この標本を用いることで明らかになったとしている。
記憶疾患の原因を探る手がかりに
一度つくられた記憶はその後、ノンレム睡眠時に脳内で自動再生されることが知られていた。しかし、記憶痕跡がどのように脳回路に埋め込まれ、脳がどのようにして、その記憶を取り出し、再生するかは解明されていなかった。
プレスリリースでは
これは、デカルト以来350年にわたる謎を解決したのみならず、今後、認知症などの記憶ができない疾患ではどのような問題が生じているのかを解明する手がかりとなることが期待されます。(東京大学大学院薬学系研究科・薬学部プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部 プレスリリース
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/news.html?key=1395042212