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東大 TLR3阻害で致死的放射線誘導性腸炎が著しく改善することを発見

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2014年03月27日 PM03:12

TLR3欠損マウスで症状は軽度に

東京大学医科学研究所 国際粘膜ワクチン開発研究センター・自然免疫制御分野の武村直紀氏らをはじめとする研究グループが、TLR3の阻害により致死的な放射線誘導性腸炎症状を著しく改善させることができることを新たに発見した。この研究成果は、現地時間の3月18日付で英科学専門誌「Nature Communications」に掲載されている。

(この画像はイメージです)

高線量の電離放射線曝露後に起こる急性疾患である急性放射線症候群では、各臓器の放射線に対する感受性により、さまざまな症状が現れることが知られている。1.5Gy以上の全身被爆では、造血幹細胞が傷害され、血小板や白血球の供給が途絶えて出血傾向と免疫力の低下が引き起こされる。5Gy以上になると、腸管傷害が誘導され、消化管症候群となり下痢、吸収低下、細菌性腸炎によって亜急性に死亡するという。

今回研究グループは、自然免疫の代表的な受容体であるToll-like receptorファミリーが、さまざまな微生物由来の成分を認識して自然免疫応答を誘導することに着目。TLR3欠損マウスが、急性放射線症候群に抵抗性を示すことを新たに見出したという。

新しい治療標的として注目集まる

研究グループによると、TLR3欠損マウスでは、造血幹細胞の傷害によって出血傾向と免疫力低下が生じる造血症候群症状については変化がなかったものの、致死率や下痢、体重減少といった消化管症候群の症状が有意に軽度であることが確認されたという。

放射線で誘導される陰窩の細胞死が、このTLR3欠損マウスでは抑制されており、生き残った陰窩から上皮が供給されて、絨毛構造が維持され、生存できると判明したそうだ。またp53による細胞死は、TLR3欠損マウスでは正常に起きていたという。p53依存的に細胞死を起こした細胞から自己のRNAが漏出、それがTLR3を介し、広範な陰窩の細胞死を誘導したと考えられている。

最近、TLR3-RNA結合阻害剤が発売されたが、これにより陰窩の細胞死を抑制し、致死率を顕著に改善することができたと報告されており、TLR3の活性化阻害が新たな治療標的となることが示されたとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

東京大学医科学研究所 最新研究成果案内
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/

Blockade of TLR3 protects mice from lethal radiation-induced gastrointestinal syndrome
http://www.nature.com/ncomms/2014/140318/

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