日本薬学会の柴崎正勝会頭は19日、都内で開かれた記者会見で、4年制学科卒業生の薬剤師国家試験受験資格の取得に向け新たな方向性がまとまったとの認識を示すと共に、臨床研究に対する賞の創設や来年度からの実施を見込む「4年制博士課程」の研究支援事業などの事業内容を示した上で、「創薬と共に育薬のバランス良い発展を目指したい」との考えを示した。
昨年4月、再登板した柴崎氏は「1年目としては大変実りある仕事だった」とこの1年間を振り返った。特に、4年制学科卒業生の薬剤師国試の受験資格問題について問題提起し、大きな議論を呼んだが、会員による公開討論会を開き、「修士課程修了後、6年制学科への学士入学する案で意見の一致をみた」とし、今後、文部科学省等の関係省庁と話し合いを進める意向を示した。
一方、同学会の賞規定等の変更によって、佐藤記念国内賞の対象を医療薬学分野に限定し、その第1号として川上純一氏(浜松医科大学病院薬剤部長)に授与することを明らかにした。同賞組み替えに関し、「これまで一方的に創薬研究に光を当ててきたが、今回、医療薬学分野に光を当てたのは学会としても大きな変化。最終的には街の科学者たる開局薬剤師の受賞者が増えることを望んでいる。オール薬学で発展することを目指したい」と述べた。
一方、2015年度から6年制課程修了後の博士課程の学生を、対象の中心とした「長井記念薬学研究奨励支援事業」を実施するとの考えを述べた。柴崎氏は「研究の底上げをしたい」との思いから、支援を受ける条件に同事業の立ち上げを牽引し、任期内に事業開始のメドをつける方針だ。前提条件として「博士号の取得」を挙げ、より多くの院生の研究活動の継続を支援していく。
当初は同学会単独事業として進めるが「軌道に乗れば薬剤師会や病院薬剤師会など関連の団体等の協力を求めたい」とし、関係諸団体が協力して後輩の育成に努力する必要性を強調した。