薬剤溶出型生体吸収性ステントの共同開発など進める
テルモ株式会社は3月14日、生体吸収性ステントを開発するフランス企業、Arterial Remodeling Technologies S.A.(以下、ART社)の独占買収権を取得したと発表した。同時にART社との薬剤溶出型生体吸収性ステントの共同開発、および同社への段階的な投資に関する契約も締結している。
心臓の冠動脈における狭心症や心筋梗塞の治療などで、狭窄または閉塞した血管の内腔を拡張する目的で用いられるステントだが、昨今は留置後の再狭窄抑制効果を期待し、金属性ステントに塗布した薬剤が徐々に周囲の組織へと放出される薬剤溶出型冠動脈ステントの使用が一般的になりつつある。
(画像はwikiメディアより引用)
今後拡大が見込まれる生体吸収性ステントにも力点
さらにこれまでの金属製ステントではなく、次世代技術として生み出された、体内で分解・吸収される生体吸収性ステントへの注目も高まっている。生体吸収性ステントであれば、体内に残らないため、血栓症の低減や抗血栓薬の服用期間短縮などのメリットがあると考えられる。
現在、世界で年間約500万本以上のステントが使用されているが、学会報告によると、2020年には650万本へ増加、そのうち半数以上が生体吸収性ステントになると見込まれているという。
テルモは、金属製薬剤溶出型ステント「ノボリ」を、日本国内をはじめ欧州などで販売しているほか、後継品となる「Ultimaster」を2014年6月に発売する予定。今回の契約締結をもとに、今後標準的に使用されていくと見込まれる生体吸収性ステントにもさらに積極的に取り組み、金属製薬剤溶出型ステントと合わせた両輪での成長を図っていくとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
テルモ株式会社 プレスリリース
https://www.terumo.co.jp/pressrelease/pdf/
Arterial Remodeling Technologies S.A. ホームページ
http://www.art-stent.com/