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岐阜薬科大学、連携大学院・初の博士号―PMDA勤務で研究成果

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2014年03月19日 AM09:48

岐阜薬科大学は、連携大学院協定を結んだ医薬品医療機器総合機構(PMDA)に派遣していた大学院生に博士号を授与した。連携大学院でレギュラトリーサイエンス(RS)を学び、審査業務等の実務を経験した大学院生が博士号を取得したのは初めてのケース。博士論文のテーマは開発ラグで、国際共同治験が申請までの期間を短縮させることを明らかにする成果を出した。岐阜薬大は、4月からもPMDAに大学院生を派遣する予定で、連携大学院を通じたRS研究を強化していきたい考えだ。

博士号を取得した上野氏(左)

岐阜薬大は、2010年11月に薬科大学で初めてPMDAと連携大学院協定を締結し、大学院後期博士課程の上野崇宏氏を第1号の大学院生としてPMDAに派遣した。PMDAの審査関連業務は、企業秘密に関わる部分があるため、修学職員という形で雇用契約を締結。新薬審査第4部に勤務し、約2年半にわたって審査業務や治験相談の実務にかかわりながら、後期博士課程の研究活動を行ってきた。

博士論文のテーマは「日本における最適な医薬品開発のための臨床開発戦略と医薬品開発ラグに関する研究」。このほど博士論文の審査に合格し、博士号を取得した。

主な研究内容は、製薬企業側に起因する「開発ラグ」の短縮とし、日本で承認された新薬200品目の審査報告書を分析し、申請までのラグを調べた。

その結果、200品目で平均1111日の開きがあることが判明したが、そのうち国際共同治験を実施した品目は、申請までの期間が30~60日と大幅に短縮したことが明らかになった。国際共同治験が開発ラグを短縮させることを定量的に示した初めての研究とされ、今後さらに開発ラグの短縮を目指すことができるとの知見が得られた。研究成果は、インパクトファクターの高いトップクラスの雑誌に掲載された。

連携大学院で初めて博士号を取得した上野氏は、岐阜県出身の27歳。薬学4年制教育の最後の卒業生で、大学院前期博士課程で有機合成化学を専攻。基礎研究に注力しても、新薬の上市確率が2万5000分の1と低いことに疑問を感じたことが連携大学院に進学する契機となった。

4月からは名古屋大学病院に勤務し、病院薬剤師として新たなスタートを切ることが決まった。新薬を開発する治験業務等に携わることも予想され、上野氏は「PMDAが求める臨床試験の意図が文面では伝わらないことがある。連携大学院の経験から、どういう背景でPMDAがその結論を出したかを理解できるので、病院でもスタッフと情報を共有していきたい」と抱負を語った。

今後、岐阜薬大は、連携大学院でRSの博士号を取得した第1号の大学院生に続き、4月から2人目の大学院生をPMDAに派遣する。その後も毎年1人ずつ派遣し、RSを研究する連携大学院の活動を強化していきたい考えだ。

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