大阪大学、株式会社カン研究所と共同で
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)は3月7日、CiRA臨床応用研究部門の土井大輔研究員、高橋淳教授らの研究グループが、ヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の製造方法を開発したことを発表した。
(画像はプレスリリースより)
これまでの研究において、ヒトiPS細胞から誘導したドパミン神経細胞の移植で、パーキンソン病モデルラットの運動機能改善は報告されている。しかし、大量培養法の開発と腫瘍化する危険性のある細胞の排除が、臨床応用においての壁とされてきた。
従来の20倍以上の濃度で培養
今回の研究は、大阪大学蛋白質研究所が開発した組み換えラミニン511E8フラグメントを用いて接着培養することで、従来の20倍以上の濃度で細胞を培養する方法を開発したもの。さらに、株式会社カン研究所で開発された抗コリン抗体を用いたセルソーティングを行うことで、ドパミン神経前駆細胞の選別・濃縮を可能としている。
今後は臨床応用を開始する以前に、今回確率されたプロトコールによって作製された細胞を霊長類にも移植し、長期の経過観察を行うことで安全性や有効性をより詳細に確認する予定としている。またiPS細胞は、自家移植が可能だが、パーキンソン病患者由来のiPS細胞から作製したドパミン神経が、脳内で機能するかについて検討する必要があるという。これらの課題を解決した上で、臨床応用に進みたいとまとめられている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)ニュースリリース
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/
独立行政法人科学技術振興機構(JST)プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140307/