厚生労働省受託事業終了に間に合わず
第一三共株式会社は3月6日、グループ会社である北里第一三共ワクチン株式会社が厚生労働省の受託事業で進めていた新型インフルエンザワクチンの供給体制が、予定していた2014年3月までに構築できないことを発表した。
(画像はwikiメディアより引用)
細胞培養法ワクチン実生産設備で供給予定
北里第一三共ワクチンは、2011年8月に厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(第2次事業)」の「細胞培養法ワクチン実生産施設整備等推進事業」の事業者に採択され、新型インフルエンザワクチンを供給する体制の構築に向けて準備を進めてきた。
ところが、実生産設備で製造工程を検証した結果、2013年10月、ワクチン抗原の精製工程における収率の大幅な低下が判明。原因究明と改善策の検討に努めてきたが、1月末の段階で、6か月間で4000万人分のワクチン供給体制構築が、当初計画していた2014年3月までには困難であると判断した。3月6日に厚生労働省で開催されたこの事業の評価委員会で、状況と改善策を報告している。
収率の低下は品質に影響なし
新型インフルエンザワクチン『沈降細胞培養インフルエンザワクチンH5N1筋注30μg/mL「北里第一三共」・60μg/mL「北里第一三共」』は、北里第一三共ワクチンが製造販売元として、2013年に製造販売承認を申請している。
北里第一三共ワクチンでは、収率の低下は品質に影響していないことを確認しており、適切な生産設備の導入と、適正な工程条件を検討し、収率向上を実現させるとしている。第一三共と北里第一三共ワクチンは、期限内に体制を構築できなかったことをお詫びするとともに、厚生労働省の評価委員会からの事後評価結果を真摯に受け止め、全社を挙げて責務を全うするとしている。(長澤 直)
▼外部リンク
第一三共株式会社 ニュースリリース
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/