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関東地区調整機構、初の「実務実習GL」策定―“大学・受入”の共通認識醸成

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2014年03月17日 AM09:48

(委員長:伊東明彦明治薬科大学教授)は、全国に先駆けて「実務実習ガイドライン(GL)」を作成、関東の薬系23大学(学部)、関連機関等に配布した。関東地区の各薬剤師会でも関係者へ周知を図っている。伊東委員長は本紙に対し「目的とする円滑、かつ充実した実務実習が実践され、有能な薬剤師を輩出し、『薬剤師が医療を変える』を実現したい」とGL活用の趣旨を語った。関東地区は加盟大学・学生数、受入施設数も多いため、実習の質的均一化が難しかっただけに、初のGL策定が、大学や実習施設で最低限の共通認識醸成に資することが期待される。

同GLは昨秋から関係者間で検討を進め、2月の同地区調整機構総会で成案を了承したもの。実務実習の意義と調整機構の役割を示すと共に、実務実習における大学、実習施設のあり方、実習中のトラブルに対する予防と対策、トラブル発生後の対応・措置、トラブルに対する調整機構の役割などを記した。

その中で、大学と実習施設との連携体制構築の重要性を強調しており、特に担当教員の役割に関しては、「実務実習の進捗状況および各到達目標の到達度に常に注目し、状況を把握することにある。そのためウェブシステム、メールおよび定期的な訪問(回数を定めるものではない)等により、実習環境や実習状況の確認、学生および指導薬剤師との面談を通じ、学生の形成的評価を行うと共に、学生の健康状態を把握し、充実した学習を全うできるよう学生への支援に努める」と規定した。

その上で、[1]実習開始前[2]実習中[3]実習修了後の各課程における連携のあり方――を示した。開始前は、「担当教員・学生・指導薬剤師の間で実習に対する考え方や実習スケジュールの確認、学生に関する情報の提供を行うなど十分な情報交換を行い、学生の不安要素の確認およびその解消を図り、指導薬剤師と担当教員間の連携強化を図る」とした。

実習中のトラブルに関しては、原因が「学生の資質」にある場合は、▽学内事前教育で担当教官が学生それぞれの個性を把握しておく▽必要に応じ事前に指導薬剤師に情報提供し実習方法等について協議しておく▽ウェブシステム、メールおよび定期的な訪問により、指導薬剤師と再評価し実習方法等を再考する――としている。

指導薬剤師・施設管理者が、学生に対する過度な要求・目標設定、教育に関する理解不足、教育施設としての不適切性などが原因である場合には、▽学生の到達度等を確認し、実習方法等について指導薬剤師と協議し再考する▽必要に応じ学生の資質、性格等に関する情報を指導薬剤師に提供する▽指導薬剤師も教育者との視点から学生に接する――ことを求めている。

トラブル発生後は、大学が学生・指導薬剤師双方から事情聴取した上で、原則、学生・大学・実習施設の3者間で協議し解決するとした。ただ、発生した問題によっては各薬剤師会、病院薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の担当責任者と相談し解決を図るとした。

調整機構の役割については、実習施設の変更や中止が発生した場合、大学からの依頼で実習施設・時期の変更について再調整し、再発防止に向けた情報提供を行うと規定した。

〈伊東委員長のコメント〉
実務実習も4年目を迎えたが、同じトラブルが何度も繰り返されてきた。一方、教育連携が重要と言われてきたが、それぞの共通認識が希薄な状態にあるのではと思っていた。このGLにより、実務実習のあり方、学生の指導等に関する実習施設の指導者や大学教員の対応について共通認識を持ってもらいたい。

GLの利用で、目的とする円滑で充実した実務実習が実践され、有能な薬剤師が輩出されればと思う。全ての薬剤師が薬物療法へ積極的に介入することが、最終的な目標であることは間違いないと思っている。

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