京都府は昨年12月に成立した2013年度補正予算で、e-お薬手帳の普及に約1000万円を投じることを決定。これを受けて京都府薬は、e-お薬手帳の活用方法や有用性を患者に説明するパンフレットを作成したほか、会員薬局向け説明会を実施。ICカードリーダライタの調達費用の3分の1をこの補助金で賄えるため、手上げ方式で参加薬局を募っている。会員薬局の半数に該当する480薬局分の補助金があり、現在200薬局以上が参加の意思を表明した。今月末まで募集を続ける計画だ。
参加を表明した薬局をレセコン業者らが訪問し、ICカードリーダライタを設置するなどe-お薬手帳を活用できる環境を整備する。この作業は早ければ今月下旬から始まる予定だ。
患者は「大阪e-お薬手帳」のアプリをスマホにインストールし、地域として「京都」を選択すれば、表示が「京都e-お薬手帳」に変わる。アンドロイド型スマホを使えば、薬局店頭に設置されたICカードリーダライタを介して、レセコンに蓄積された処方情報などを容易に取り込める。
もっとも、e-お薬手帳は、ICカードリーダライタだけでなく、薬剤情報提供書などに印刷されるQRコードをスマホのカメラで読み取ることによっても活用できる。日本薬剤師会の働きかけによって、必要なQRコードを印刷する機能は今年4月以降、各社のレセコンに追加される見通しだ。
■紙の持参率向上へ
京都府薬副会長の渡邊大記氏は「e-お薬手帳の普及をきっかけに、紙のお薬手帳の持参率を高めたい」と強調する。
e-お薬手帳は、患者が投薬情報などを自己管理し、災害時にスマホを持ち出すことによって過去のデータを診療に生かせるなどのメリットがある。一方、患者が自分のスマホを医療者に手渡すことはほとんどないため、スマホ型のe-お薬手帳は医療者間の情報共有には適さない。医療者間で情報を共有し薬物療法の安全性を確保するには、紙のお薬手帳が必要だ。e-お薬手帳の導入に併せて「安全を確保するために、両方を持つことが自分のためになる。それを患者さんに認識していただけるように働きかけていきたい」と渡邊氏は語る。
一方、e-お薬手帳を推進する京都府の方針を受け、京都府立医科大学附属病院でも今年4月から、外来患者の院内処方箋や退院患者に渡すシールに、e-お薬手帳用のQRコードの印刷を開始する計画だ。