「実用化挑戦」の新規課題として採択
タカラバイオ株式会社は3月3日、同社が開発を進めているT細胞受容体(TCR)遺伝子治療プロジェクトが、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の平成25年度 第2回「研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)実用化挑戦ステージ 実用化挑戦タイプ(創薬開発)」の新規課題として採択されたと発表した。これに伴い、同社はJSTとの間に開発委託契約を締結している。
国は近年の再生医療実用化支援について、文部科学省・経済産業省・厚生労働省が協働し、基礎研究から臨床研究、産業化までをシームレスに推進する方針を示している。そうした中、JSTはA−STEPにおいて研究開発の進捗状態に応じた区分で公募を実施しているが、この「実用化挑戦タイプ」は実用化に向けた最終段階に位置付けられるものであり、平成25年度の「創薬開発」としては、タカラバイオの遺伝子治療プロジェクトのみが採択となったという。
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三重大学と共同開発、実用化へ向け着実な推進
今回採択されたTCR遺伝子治療は、がん患者から採取したリンパ球に遺伝子を導入して患者に戻すことにより、遺伝子改変されたリンパ球が患者の体内でがん細胞を特異的に認識して攻撃、消滅させることを目指す新規の治療法。タカラバイオが三重大学と共同開発を進めている。具体的に採択された実施内容は3つのプロジェクトからなる。
1つ目は、食道がんや頭頸部がん、卵巣がん、悪性黒色腫などでの発現が確認されているMAGE−A4抗原対象のTCR遺伝子治療治験実施。2つ目は、滑膜細胞肉腫、悪性黒色腫、卵巣がん、食道がんなどでの発現が確認されているNY−ESO−1抗原を対象とするTCR遺伝子治療の治験準備およびその実施。3つ目は、製造販売承認に向けた医療システムの構築となっている。このシステムは数週間で治療が完了する一連の医療システムで、創薬と同時に開発を進めることにより、迅速で安全な個別細胞療法の実現を目指すとされる。
研究開発期間は原則として最長5年、研究開発費総額は原則10億円まで(間接経費込)とされている。
タカラバイオでは今回の委託事業採択により、今後TCR遺伝子治療の実用化に向けた開発を、より着実に推進していけるものと期待するとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
タカラバイオ株式会社 ニュースリリース
http://www.takara-bio.co.jp/news/2014/