厚生労働省は、一般用医薬品の新たな販売ルールを規定した「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」の運用上の留意点などをまとめた施行通知を発出した。施行通知では、安全なインターネット販売環境の整備に向けた「モール事業者の協力」を新たに明記した。ただ、正当な理由がなければ使用者本人以外に販売してはならないと規定されている要指導医薬品の販売で「正当な理由」が認められるケースについては、「追って内容を通知する」とし、考えが示されなかった。
薬局を出店させているインターネットモール事業者に対しては、新法の規定に違反する恐れのある事業者による医薬品の特定販売や、麻薬および向精神薬取締法等の規定に違反した医薬品がネット上で販売・授与されないよう、国や都道府県と連携して必要な取り組みを行うことが望ましいとした。
要指導薬の「正当な理由」については、法案審議を行った昨年11月22日の衆院厚労委で、今別府医薬食品局長が、「実際は、緊急避難的な災害等の場合に限定されるということで、極めて狭い範囲のもの」と答弁し、「正当な理由」の範囲を明確にしていなかった。厚労省は、「正当な理由」が認められるケースについて、来週にも通知で明確化するとしている。
施行通知では、要指導薬の表示の経過措置に関する考えも明示。第1類薬のうち、要指導薬に分類されたものについては、2016年6月11日までの約2年間は、「第1類薬」の表示のままで販売できるとした。
新たに要指導薬に区分された第1類薬については、外箱などに直接、シール等を貼付することによって要指導薬の表示を行うことも認められることを明確化した。
また、医薬品の外箱や容器に、黒枠の中に黒字で記載する「要指導医薬品」の文字については、日本工業規格Z8305に規定する8ポイント以上の大きさの文字を用いなければならないこととした。
薬局の開設許可申請を行う際に、都道府県知事に届けなければならない事項の一つである「相談時および緊急時の電話番号その他連絡先」のうち「その他連絡先」について、「電子メールアドレス等」との考えを示した。
特定販売を行う業者に対して、「ホームページの閲覧に必要なパスワード等がある場合には、併せてそのパスワード等を提出する」ことを求めた。