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日本小児アレルギー学会 吸入ステロイド薬による小児喘息の長期管理について見解を発表

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2014年03月10日 AM06:00

成長抑制に関する問題提起を受け、慎重な投与求める

日本小児アレルギー学会は2月25日、吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid、ICS)による小児喘息の長期管理について、近年、その使用により成長抑制をきたす可能性が報告されていることを受け、同学会喘息治療・管理ガイドライン委員会としての見解を緊急発表した。

(この画像はイメージです)

問題提起の契機となったのは、海外における2つの報告だ。1つは2011年に発表されたPEAK studyのfollow up reportにおけるもので、繰り返す喘鳴とAPI陽性の2~3歳小児204人をプラセボ群とCFC-fluticasone(176μg/日)吸入群の2群に分けて2年間投与、中止した後さらに2年間身長の伸びを観察している。この報告では全対象における有意差を認めていないが、2歳で体重が15kg未満であった子どもの場合、ICS中止後2年経過の段階で、プラセボ群に対し-1.6cmの低身長が確認されている。結論としては、ICSを使用すべきでないということではなく、低年齢、低体重の小児ではリスクが高いこと、そして、そうしたケースであるほど相対的使用量が増大する可能性が高くなることから、十分にリスク対効果を考慮したうえで治療すべきとしている。

2つ目は2012年に発表されたCAMP studyのfollow up reportで、5~13歳の小児を対象にブデソニド400μg/日を4~6年間使用した群が、成人年齢に達した時の身長をnedocromil群、コントロール群で比較調査した報告だ。ICS使用群では、コントロール群に比べ平均-1.2cm低かったという。思春期前の小児における最初の数年間のICSが、成人時の身長に影響を残していることを示し、リスクを指摘したうえで、ICSの最小有効量を使用することが望ましいと結論付けている。

高用量副作用は以前から報告あり、乳幼児ではさらに厳密な診断・判定を

日本小児アレルギー学会は、高用量のICSによる副作用は、成長抑制を含めて以前から報告されており、この近年の報告を待つまでもなく、使用に際しては十分な注意が必要であるとし、同学会発行の小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL2012)でもICSの適応基準を患者のベネフィットとリスクを考慮して決定していると述べている。

そして、成長抑制は重大なリスクのひとつであり、治療による効果がリスクを上回ることがなければ、リスクを起こす可能性のある量を、可能性のある期間使用すべきではないと認めたうえで、適切に使用される場合、乳幼児を含めて多くの喘息患児にベネフィットをもたらすものであることをあらためて指摘。ICSの使用が、近年の重症患児の現象、発作による入院数の減少、喘息死の減少をもたらしたことも、多くの臨床研究からみて間違いのない事実であると考えられるとした。

現場においては、とくに乳幼児においてICSのリスク対効果を高めるために、喘息の診断と重症度を厳密に判定する必要があるとし、リスクを定期的に観察、評価したうえで治療方針を決定することが重要と述べている。

中等症持続型以上の重症度を有する喘息患児では、QOLの観点から年齢に関わらずICSを第一選択とすることが適切であると考えられるが、軽症持続型の乳幼児の場合には第一選択薬はICSではなく、ロイコトリエン受容体拮抗薬であるので、その治療効果と経過をみて、喘息の診断や重症度判定が正しいかどうか慎重に判断するよう求めている。また、低年齢で低体重の場合には、乳児喘息でICSによる明らかな効果が得られるケースでも、リスクが高くなる可能性が指摘されていることから、吸入量設定により慎重な対応をとるよう注意喚起を行っている。

全体として、ICSを用いて効果があれば適量まで早期にステップダウンを、効果がなければ他の疾患も考慮し、漫然と高用量ICSでの継続治療を行わないよう求め、こうした観点でまとめられたガイドラインの考え方を再認識するよう訴えている。(紫音 裕)

▼外部リンク

 重要なお知らせ
http://www.jspaci.jp/modules/important/index.php

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