購入費用は1287万円で、県の地域医療再生事業補助金600万円を活用した。大規模災害の発生した被災地に駆けつけ、散剤(粉薬)や水剤などの調剤を行う医薬品供給の調剤機能基地として、さらには被災地の情報を収集し、対策本部と地域薬剤師双方の伝達情報発信・伝達基地としての役割を期待している。
今回のMPはキャンピングカーの機能を生かして、調剤業務ができる仕様に内外装を改造したもの。排気量2982ccの四輪駆動ディーゼルターボ車で、全長5160mm、全幅2110mm、全高2940mm。車内には300~500品目の医薬品の積載が可能なほか、錠剤棚、分包機、電子天秤外用調剤台、保冷庫などの調剤設備を設置。これら設備は調剤機器メーカーの協力のもと、車内に搭載できるコンパクトなものを特注した。外装の県薬剤師会の名称以外は、宮城、大分が導入した車両と全く同じ仕様となっている。
同県下は、今後発生すると言われる南海トラフ巨大地震で津波による浸水被害などが想定されている。こうした大災害発生時に同県薬災害対策本部の指揮のもと、薬局機能や電気、水道などのインフラが壊滅状態になった地域に、薬剤師と共にMPで駆けつける。そこで、地域医療機関や行政機関とも協力しながら被災地住民の薬物療法や環境衛生支援や、医療救護所での薬剤師業務の支援を行う。MPに積載する医薬品は、同県薬の会営薬局に災害用キットとして備蓄し、有事の際に積み込み被災地に向かうという。
今後のMPの活用について同県薬副会長の白井良和氏は「和歌山県独自に作成した災害時備蓄医薬品等の供給マニュアルがあり、2014年度に改訂が行われるが、その中でMPの位置づけを検討してもらう予定。まずは、災害時における県下の三師会などとの連携を図るほか、モバイルファーマシーを災害訓練時のほか、健康関連イベントなどに出動させ紹介し、薬剤師業務も含めて広く県民にアピールしていきたい」と話す。