医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 理研 細胞内分子間の情報伝達効率の上限を定義する議論に終止符

理研 細胞内分子間の情報伝達効率の上限を定義する議論に終止符

読了時間:約 1分16秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年03月05日 PM02:05

オランダ原子分子国立研究所との共同研究チームにより

独立行政法人理化学研究所は2月18日、同生命システム研究センター(柳田敏雄センター長)生化学シミュレーション研究チームの海津一成基礎科学特別研究員、髙橋恒一チームリーダー、オランダ原子分子国立研究所のピーター・レイン・テンウォルデ教授らの共同研究グループによって、細胞内分子間の情報伝達効率の上限を定義する基本理論をめぐる論争に終止符が打たれたと発表した。

(この画像はイメージです)

ビアレックらの理論に誤り

人がものを見たり考えたりするとき、多数の神経細胞同士で情報の受け渡しがされている。この伝達効率について、細胞内の分子の間でどれだけの情報を受け渡せるかの上限を定義したのが、1977年に米国ハーバード大学で提案された「バーグ=パーセル限界」と呼ばれる理論である。

一方、2005年には米国プリンストン大学のウイリアム・ビアレック教授らも、同種の理論を発表し、こちらがより新しいものとされてきた。しかし、双方の理論の予測結果に矛盾があることが問題になっていたという。

今回、共同研究チームは、理研のスパコンRICC上で高橋チームリーダーらが開発した「改良グリーン関数反応動力学法:eGFRD」という計算手法を用い、バーグ=パーセル限界の厳密な検証を実施。その結果、より新しく精緻な理論とされてきたビアレックらの理論に誤りがあることが分かり、古典的なバーグ=パーセル限界理論が実際には厳密な検証にも耐えうることが証明されたという。

プレスリリースでは

本研究成果は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)などの幹細胞が、体内の成長因子をどの程度正確に検知し特定の種類の細胞への分化を決断するのか、免疫細胞がどのように異物を捕捉するのか−などをより詳細に理解する上で大きな役割を果たすと期待できます。(理化学研究所 プレスリリースより引用)

と述べられている。(小林 周)

▼外部リンク

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか