私たちの体には、「体内時計」が備わっていて、様々な物質がこの時計と共に変動しています。イスラエル・ワイツマン科学研究所で、メタボリック症候群とも関連の深いトリグリセリド(中性脂肪)が、この体内時計に関連するか、マウスを使った研究が行われました。すると、トリグリセリドの変動を左右するのは、体内時計だけではなかったという思いもかけない結果が出たのです。
(この画像はイメージです By MR LIGHTMAN/FreeDigitalPhotos.net)
通常では、トリグリセリドは日の出から8時間後に最大になるそうです。このことから、トリグリセリドの変動には、体内時計が関係すると予測されたため、この調査チームでは、自然の体内時計に従っているマウスと、体内時計を狂わせたマウスとに、夜だけに餌を与える場合と、好きな時間に餌を食べられるようにした場合を比較しました。
すると、体内時計を狂わせたマウスでも、規則正しくトリグリセリドの値が変化することがあると分かったのです。これは、夜だけに餌を食べていたマウスで見られた変化で、その場合トリグリセリドが最大になるのは、日の出から20時間後でした。
このことから、トリグリセリドの変化は体内時計ではなく、食事の時間に影響することが分かったのです。
さらに、同じ量の餌を、夜だけに限って与えた場合と、1日のうちで何回かに分けて与えた場合では、夜だけに餌を食べていたマウスの方が、トリグリセリドの最大の値が50%低くなっており、これには調査チームも驚いたそうです。
この調査から、食事の時間を適切に設定すれば、脂肪肝やメタボリック症候群のリスクをぐっと下げることができるようになる可能性が高いことが分かりました。まだまだ、マウスで確認された段階ではありますが、有効な治療や健康管理につなげることができると、多くの専門家が期待を寄せています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Circadian Clocks and Feeding Time Regulate the Oscillations and Levels of Hepatic Triglycerides
http://www.cell.com/cell-metabolism/retrieve/
Time is of the Essence
http://wis-wander.weizmann.ac.il/