■改正薬事法と同時に施行
11月の施行を予定している改正薬事法で、新たなカテゴリーとして設けられる「再生医療等製品」の特許権の存続期間を検討していた特許庁のワーキング・グループ(WG)は26日、再生医療に関連する医薬品や医療機器などの特許権存続期間を最大で5年間延長する報告書を大筋で了承した。治験で安全性を確認し、有効性が推定された段階で仮承認する「条件および期限付き承認」も延長の対象とする。企業の投資を回収しやすくし、研究開発を促す狙いがある。特許庁は、WGの取りまとめを踏まえ、関連する特許法施行令を改正し、改正薬事法に合わせて施行する予定。
特許法では、製造販売等の許認可取得に必要な臨床試験や承認審査などに一定の時間を要し、結果として特許権を実施できなかった場合、最長で5年間の特許権の存続期間の延長を認め、研究開発費用の回収を可能としており、医薬品と農薬が延長対象になっている。
WGの報告書では、iPS細胞や体性幹細胞などを用いた再生医療に関連する医薬品や医療機器などの「再生医療等製品」について、原則20年間の特許権の存続期間を例外的に延長できる制度の対象とすると結論づけた。
また、改正薬事法では、実用化までの期間を短縮させるため、治験で有効性の推定と安全性の確認ができた後に条件と期限を付した承認を与え、許可された市販の範囲で有効性とさらなる安全性を検証し、本承認を与える2段階の承認制度も新たに設けている。
報告書では、本承認ではない「条件および期限付き承認」について、「現時点で実態が明らかでない」としながらも、改正薬事法上の「承認」に位置づけられることや、治験開始から仮の承認までに相応の時間を要することが想定されることなどを踏まえ、特許期間延長の対象にした。ただ、改正薬事法施行後の運用状況を見た上で問題があれば再検討するとした。
「再生医療等製品」の特許期間の延長は、改正薬事法の施行日以降に延長登録出願されたものに限って認めることとした。
改正薬事法では、再生医療関連製品に関する規制が整備され、これまで「医療機器」に分類されていたiPS細胞を利用した細胞シートや、遺伝子工学により製造されたインスリンのようなバイオ医薬品などが新たに「再生医療等製品」に区分されることが想定されるため、特許庁のWGでは、「再生医療等製品」を特許権の存続期間延長制度の対象とするかを検討していた。