男女共通のガイドラインでは不十分。女性には女性にあった予防法が必要
脳卒中は、日本でも常に死因の上位に入っている疾患です。アメリカでも、多くの人が脳卒中で命を落としていますが、実にその6割が女性とされています。その背景から、最近になって、女性のための脳卒中予防ガイドラインがアメリカ心臓学会の専門誌「Stroke」に発表されました。
(この画像はイメージです)
これまで、脳卒中に関するガイドラインは、男女共通のものが用いられてきました。ガイドラインの作成に関わったアラバマ大学の専門家は、男性と女性では根本的に身体の構造が異なることもあり、女性には女性特有の状況に配慮したガイドラインが必要であると説明しています。
妊娠や出産にまつわる女性のカラダに着目
このガイドラインでは、特に妊娠や出産にまつわる女性の身体の構造や働きについて、焦点をあてています。実際に盛り込まれている内容を見てみましょう。
- 一部の女性では、ピルによって血圧が高くなるため、避妊用ピルを処方する前に、血圧の状態を確認すること。
- 妊娠前に、高血圧の診断を受けていた女性では、アスピリンやカルシウムのサプリを使った処方で、妊娠高血圧症候群のリスクを予防すること。
- 妊娠高血圧症候群にかかった女性は、脳卒中のリスクが2倍、出産後に高血圧となるリスクが4倍になるとされているので、出産後も継続して観察を続け、喫煙や肥満などで更にリスクが高くなることを予防すること。
- 妊娠中に血圧が高めの人に対しては、治療を検討すること。そして、血圧の上が160mmHg以上であれば、必ず治療を行うこと。
女性は、若いうちは持病を抱えていない場合、妊娠・出産時に産婦人科にかかる以外に、なかなか病院にかかって将来の病気のリスクを考える機会がほとんどありません。このガイドラインでは、女性が若いうちからリスクとなる事柄に気付くことができる点で、将来の健康管理に大いに役立てることができるとされています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Guidelines for the Prevention of Stroke in Women
https://stroke.ahajournals.org/content/
First stroke guidelines for women created with help of UAB expert
http://www.uab.edu/news/focus-on-patient-care/