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日本薬剤師会・第82回臨時総会、会館用地借地を否決―将来世代への負担懸念

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2014年02月26日 AM09:45

日本薬剤師会は22、23の両日、都内で第82回臨時総会を開き、2014年度事業計画、収支予算案、定款の一部改正、会長候補者選挙などについて審議した。日薬会館建設について、既取得地の90坪に定期借地権付きの隣接地100坪を合わせて合計190坪として建設したいとの執行部提案を否決。これに伴い緊急に収支予算案を修正し、これを承認した。

ブロック代表質問では、始めに北海道ブロックから三國亨氏が質問に立ち「当初目的は賃借料の資産化であり、土地を購入することで話が進んでいたはず。なぜ急に定期借地権なのか」と迫った。児玉孝会長は「当初は買うつもりで進めてきた。今は売れないが、将来は売ってくれる」と応じた。さらに三國氏は「例えば10年後に購入するとして、その費用は示されていない」と指摘。森昌平担当常務理事は「売るときは交渉になると思う。それもそのときの執行部の考えによる」と述べたが、三國氏は「10年後に責任持てる人間がいるのか。この提案は反対」と断じた。

さらに、関東ブロックの武智洋一郎氏(群馬)は「50年後に返還するとなれば、どうしても歪な建物にならざるを得ない。理解できないし、賛成できない」と指摘した。東海ブロックの木全勝彦氏(愛知)も「3・11を経てからは災害拠点としての意味も含め、90坪を買うことが認められたと理解している。総会のたびに変わる。本部機能がしっかりできる設備で建設してもらえばいい」と執行部の対応の変容ぶりを批判した。

東京ブロックの小野稔氏は「そもそも賃料を財産化するということで、前回総会で承認された。今回の提案はこれまでの総意と一致してない。将来の会員には非常な負担であり、ある意味無責任だ。(児玉会長は)90坪では小さい、機能発揮できないと言うが、そもそもなぜそのような土地を購入したのか」と批判した。

一方、近畿ブロックの矢野謙氏(兵庫)は、「一部に反対があるが、多数のブロックが賛成していると聞いている。早く会館を建ててほしい」との賛意を表す意見も聞かれた。

採決に際しては、投票を求める動議が出され、賛否についての投票が行われたが、委任状を含め149人の出席者のうち、執行部提案による会館建設に対する賛成は63票にとどまり、否決された。

これを受けた執行部は14年度収入支出予算案にも影響があることから急きょ、臨時に理事会を開き、修正案を再度提出したいと提案。これが認められ、理事会を開催し、会館建設予定規模を90坪とした上での修正予算案を取りまとめ、改めて総会に諮り、承認された。

■お薬手帳、さらに啓発を

このほか、今回の調剤報酬改定でお薬手帳の取り扱いについて、北陸信越ブロックの中森慶滋氏が質した。担当の三浦洋嗣副会長は「お薬手帳の説明がほとんどなく、シールだけが薬袋に入っているといった指摘が厚生労働省からされている。また、お薬手帳を持ってこない、必要ないという患者に対し、薬剤服用歴管理指導料が算定できないことになりかねない。せっかく普及させようとしてきたので、仕方なく導入した」と応じた。

この点については、2日目の一般質問で渡邊大記氏(京都府)が電子お薬手帳と絡めて質問。「負担金という観点で、またマスコミが取り上げるか懸念される」とした。三浦氏は「長い時間をかけて普及に努め、指導料の中に組み込まれ評価されていると思う。ただ、なかなか全てでやられていないという事例があり、できない以上は指導料の算定ができなくなってしまう。承伏しがたいが、二つに分かれた」とし、さらなる啓発活動の推進を求めた。

また、「ヨヤクスリ」に関してはブロック代表質問に続き、一般質問でも取り上げられた。東京ブロックの小野氏が、同事業についての見解を求めた。三浦氏は日薬として今月20日付で「ヨヤクスリ」への対応について通知を発出したとした上で、特に個人情報の取り扱いが安易すぎるなどいくつか懸念事項があることから、その内容を詳しく確認している最中であるとした。

さらに、一般質問で副千秋氏(大分)が、処方箋データが医療目的以外に使われる可能性があると指摘。三浦氏も「同様の認識を持っている。希少疾患では個人が特定されやすい問題もある。具体的な問題が起こる前に行政に対応を求めている」とした。

児玉氏は「楽天の100%子会社であり、昨年の一般薬のネット販売と同様に、その先の処方箋薬が狙いだと思う。個人の医療情報を売買することになるので追及し、しっかり対応したい」と応じた。

■「ヨヤクスリ」で通知

また日薬は20日付で、ケンコーコムが運営する薬局検索および処方箋ファクシミリ送信サービス「ヨヤクスリ」に関する対応状況や問題点・課題などを各県薬剤師会に通知した。

それによると、[1]個人情報の利用目的の対象情報に処方箋の内容まで含まれているが、個人情報の取り扱いに関する利用者の同意を得るためのプロセスが簡便であるため、同サービスの利用者が正しく認識せずに利用してしまう危険性がある[2]同サービスにおける薬局の情報(データベース)は、個々の薬局の希望に基づいて登録されているものではないため、ファクシミリの送信側(利用者)と受信者(薬局)におけるトラブルを誘発する危険性が高い[3]同サービスにおける薬局の情報は薬局機能情報提供制度に基づく公表データから作成されているため、登録されているのは必ずしも保険薬局であるとは限らない――などを問題点に挙げている。

このような状況を踏まえ、日薬ではケンコーコムに対し、改善を求めていくとの方針を示している。

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