ウイルスセンサーMDA5の恒常的な活性化により
京都大学ウイルス研究所の藤田尚志教授、加藤博己准教授らの研究グループは2月14日、理化学研究所の野田哲生チームリーダーらの研究開発チームと共同で、全身性エリテマトーデス(SLE)の原因遺伝子のひとつを発見したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
藤田教授の研究室は、これまでウイルスセンサーであるRIG-IおよびMDA5を世界に先駆けて発見し、どのようにウイルスの侵入を認識するか、抗ウイルス応答を惹起するかについて研究してきた。また野田グループは、SLE様の症状を自然発症するマウスを獲得し、そのマウスではウイルスセンサーMDA5に変異があることを明らかにした。
共同で詳細な解析を実施した結果、通常はウイルス感染無しには活性化しないMDA5が恒常的に活性型となり、常に抗ウイルス応答を引き起こしている状態であることが明らかになったという。さらに、樹状細胞やマクロファージといった免疫細胞の活性化が病態形成の主因となっている可能性が示唆された。
SLE以外の自己免疫疾患の原因であるかも検討
プレスリリースでは、今後さらに詳細な解析をすることでSLE発症機序の解明、予防、診断、治療法の確立、さらに、さまざまな薬剤を用いてSLEの症状を抑える可能性を検討するとし、
私たちがウイルスセンサーとして注目してきたMDA5の異常活性が、SLE以外の自己免疫疾患の原因であるかを検討することも重要な課題と考えています。(京都大学 プレスリリースより引用)
と述べている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/