日本製薬工業協会会長の手代木功氏は20日、大阪市内で記者会見し、2014年度薬価制度改革について、新薬、長期収載品、GE薬にとっても「かなり薬はいじめられたという認識を持っている」と語った。長期収載品の特例引き下げが拡充される一方、新薬創出・適応外薬解消等促進加算が試行の継続にとどまったことについては「著しく公平性を欠く」と述べ、同加算の制度化に向けて理解を促す活動を続けたいと語った。
今春の薬価制度改革では、一定期間を経てもGE薬に置き換わっていない長期収載品の薬価について、置き換え率に応じた3段階の特例的な引き下げが実施されることになった。
手代木氏は「ある先発品に対しGE薬が1品目しかなく、最大でも全体の5%の供給能力しかない製品があるのも事実」と指摘。物理的に置き換えが進まなくても薬価が継続的に引き下げられていくのは「大きな問題」と述べ、今後データを構築した上で問題を提起したい考えを示した。
また、長期収載品の中には「採算性は悪いが、医療上必須という古い製品がある」と説明。安定供給のためにも、薬価の保持や消費税に対応した薬価引き上げなどが必要として、関係者の理解を求めていきたいとした。
一方、製薬協が要望してきた新薬創出等加算の制度化は今春の薬価制度改革では見送られ、試行が継続されることになった。手代木氏は「製薬業界として大きな遺憾の意を表明した」と報告した。
長期収載品がGE薬に置き換わることを許容する代わりに、新薬の手厚い評価を得ることが議論の出発点だったが、長期収載品の特例引き下げが拡充される一方、新薬創出等加算が試行の継続にとどまったのは「著しく公平性を欠くと思っている」と強調。引き続き、新薬創出等加算の制度化に向けて理解を求める活動を展開する方針を改めて示した。
一方、今春の薬価制度改革に盛り込まれた、原価計算方式における営業利益率の評価範囲拡大や、世界に先駆けて日本で承認を取得した場合の加算については、そのハードルは高いものの「われわれにとってプラス。もっと進めてもらえるように話をしていきたい」と語った。