組織委員長の大塚氏は本紙に「2006年から導入された6年制薬学教育が一巡した今、薬を通して命を衛るために、創薬と育薬のために基礎薬学と臨床薬学のバランスの良い発展が大事。その両者が患者の命を衛ることにつながる」とテーマに込めた思いを語った。特に今回は、佐藤記念国内賞の授賞対象が従来の薬学一般から「医療現場において薬学的活躍をした人」に変更されたことなども特徴の一つだという。
今回、大塚氏が目玉企画として挙げるのは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から寄せられた特別シンポジウム「革新的医薬品の創出・実用化に向けて―日本版NIHへの期待」。同シンポジウムには高久史麿日本医学会会長、柴崎正勝日本薬学会会頭、手代木功日本製薬工業協会会長、中垣英明内閣官房・医療戦略室次長という医学、薬学、製薬団体、行政のトップ、PMDAの内海英雄、北條泰輔両理事など最高の顔ぶれが結集する。特に、医学会会長の薬学会年会出席は初めてのこと。「存在感のあるシンポジウムとして、フロアとの意見交換の時間も十分とってあり、活発な討論の場となることを期待している」と強調する。年会では、期間中にPMDAの薬事戦略相談の個別面談(無料)も実施し、ブース展示も行う予定だ。
また、FIP(国際薬学連合)フォーラム2014として企画する特別シンポ「Responsible Use of Medicines―患者に正しく確実に薬を届けるために」は、海外での医薬品の適正使用、国内の薬のネット販売規制緩和などタイムリーな話題でもあることから、特別に一般公開を予定している。
市民講演会は「高校生のための薬学・生命科学入門:伝統薬からiPS細胞まで」と題し、熊本大学の薬用植物園と発生医学研究所から発信するなど、熊本大学ならではの内容となっている。「二つの異なる分野の最先端の演題を組み合わせたことで、多くの一般の方々の興味を引き、また楽しんでいただけるのではないか」とした。
学会の参加者は、例年と同じく「7000~8000人規模」を想定。会期中は、会場間を結ぶシャトルバスを運行する予定。大塚氏は、「年会を通じて、創薬から育薬、基礎研究から臨床現場まで、様々な分野で薬学に携わる人々が一堂に会して、情報を発信・収集などを行う交流の場となり、薬学発展に寄与していくことを期待したい」と話す。