成人統合失調症に月1回投与で安定的効果
大塚製薬株式会社とH.ルンドベックA/Sは「エビリファイ(R)」の新剤形である持続性注射剤「Abilify Maintena(R)」(エビリファイ メンテナ)について、成人統合失調症の維持治療を適応症とする販売承認を2月10日にカナダ保健省より取得したと発表した。同国における4月からの発売を予定している。
Abilify Maintenaは、経口のエビリファイと同様に抗精神病薬としての優れた効果と安全性プロファイルをもった、月1回の投与で血中濃度が持続する筋注用デポ製剤。現在、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト製剤として、月1回の投与で効果を保つことのできる唯一の薬剤で、今回のカナダにおける承認取得は、米国FDA、欧州委員会(EC)の承認に次ぐものとなった。
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長期にわたる治療・服薬の負担を軽減し、再発を効果的に防止
カナダにおける承認は、欧州同様2本の試験結果をもとにして取得された。1本目の臨床試験では、Abilify Maintena投与群とプラセボ群の比較で、統合失調症の再発までの期間を有意に延長することが示された。2本目の試験では、経口のエビリファイと同等の効果を確認している。
また、これら試験中の薬の切り替えに関する満足度調査において、Abilify Maintenaによる治療を受けた統合失調症患者の93%が、前治療の経口抗精神病薬治療と比べ「非常に満足」、「大いに満足」、あるいは「満足」であると回答したという。
統合失調症は長期にわたる治療が必要であり、服薬の継続が重要だが、60%の患者が適切に服用しておらず再発につながっているとの報告もある。適切な服用がなされない原因として、病識の欠落や副作用が原因であるケースもあるが、治療薬の複雑な投与方法や家族からの支援が困難なことなどが要因となっていることも多いとされる。
Abilify Maintenaは、月に1回投与することで1カ月間体内に薬剤が留まり、徐々に有効成分が血中に放出されるため、安定した血中濃度を保つことができ、毎日服薬しなくとも持続的な効果が得られ、確実な治療環境のもと、統合失調症の再発を予防することができるという。大塚製薬では、今回の同剤の承認取得は、同国における医療従事者と患者の双方にとってメリットの大きい新たな治療選択肢を生むものであり、統合失調症の再発リスクの低減に寄与できるとしている。
なおAbilify Maintenaは、日本では現在製造販売承認を申請中であり、日本・米国・欧州で双極性障害躁状態の臨床開発試験フェーズ3を開始している段階にある。(紫音 裕)
▼外部リンク
大塚製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2014/