開会に当たって北田会長は、診療報酬改定に触れ、療養・精神病棟における病棟薬剤業務実施加算の算定期間の延長、薬剤師によるがん患者指導管理料の新設を挙げ、「日病薬は診療報酬の獲得を目的に薬剤業務に取り組んでいる団体ではないが、私たちの行っている業務がニーズに合い、患者や他の医療スタッフからきちんと評価されたことが、(改定に)反映されていると思う。これを励みに、さらに業務展開をお願いしたい」とあいさつし、新たな業務展開も視野に病薬業務の着実な拡大と定着に向けた努力を求めた。
さらに「今後、医療機関の機能分化はさらに進み、外来診療についても機能分化が進んでいくと思われる。このような流れの中で薬剤師に求められるものは大きく変化していくと思われる」とした上で、「(日病薬としては)資質向上のための生涯学習制度や研修制度の充実、チーム医療に十分に対応、機能する薬剤師制度の充実に加え学術活動の活性化に取り組んでいきたい」と述べた。
特に生涯学習に関し総会で執行部は、新たな生涯研修認定薬剤師制度の創設について報告し、日病薬がプロバイダーとして薬剤師認定制度認証機構の認証を取得した後、早急に新制度の導入・普及を進めていく方針を示した。
このほか、総会では来年度事業計画案、収支予算案、定款細則の一部改正案などを審議し、執行部提案通り承認したほか、新たな生涯学習制度創設に加え、次期診療報酬改定、病院薬剤部門の現状調査結果、次年度学術小委員会の編成などを報告した。
次年度の事業計画については、チーム医療における薬剤師業務・医療安全への取り組み、業務の現状調査やエビデンスの収集、専門薬剤師・認定薬剤師養成の充実など資質向上、災害発生時の支援体制の検討・構築、日病薬組織体制・運営の強化を重点事項として取り組むことを、柴川雅彦専務理事が報告した。
また、診療報酬改定に関しては、川上純一常務理事が「今回は薬価改定の財源の全てが消費税対応分に回され、非常に厳しい改定になったといえる」と概観した後、今後の方向性として、「専門病院では癌診療に代表されるような外来の薬剤師の機能が評価されている。全人的な診療を行う診療所、中小病院では主治医機能が評価され、地域包括医療への方向づけがなされている。また、財政が厳しい中で、精神・療養病床の期間が倍になったが、これは調査の良い結果が評価されたことが背景にある。今後の病院薬剤師の方向性が示された内容といえる」と概説した。
また、堀内龍也相談役が今回の改定が当初目標を達せず「十分であるとは言えない」と指摘。北田会長は「諸手を挙げて喜んではいない。全体としては良かったが、点数がつかないからしないということではなく、上を目指して各医療機関で実践し、評価を得ていく努力をしていただきたい」と受け、総括する場面もあった。