厚生労働省医薬食品局総務課は、処方医に疑義照会を行えば、患者の居宅など薬局以外の場所でも薬剤師が調剤量を変更できるようにする省令改正案をまとめた。
薬剤師法22条では、薬剤師が調剤できる場所は、原則として薬局に限ると規定している。例外として、処方箋の確認や処方医への疑義照会を患者の自宅で行うことが認められているが、調剤はできない。
現行の規定では、患者宅で同じ薬剤の飲み残しがあったとしても、薬剤師が調剤できる場所ではないため、わざわざ薬局まで戻って調剤し直してから、患者宅に届ける必要性が生じていた。
厚生労働省は、チーム医療推進会議のワーキング・グループに薬剤師業務の見直し案を提示し、親会議でも了承されていた。
改正案では、薬剤師の在宅業務の実情を踏まえ、患者に処方された薬剤に飲み残しがある場合などに、処方医に疑義照会した上で、患者宅などで薬剤師が調剤量を変更できるようにした。
ただ、患者宅で調剤することによって、▽薬剤の全部・一部が不潔になったり、変質する▽薬剤に異物が混入したり付着する▽薬剤が病原微生物その他疾患の原因となるものによって汚染される――などの恐れがあり、衛生上の問題がある場合は調剤できない。
また、患者の容体が居宅で急変した時など、特に緊急性が高く、調剤行為を行う以外に手段がないと判断した場合などは、医師の処方箋がなくても薬剤師がその場で調剤できることを明確化している。
厚労省は、3月14まで改正案に対するパブリックコメントを受け付けている。