急性呼吸器感染症の原因ウイルス株を解析
東北大学は2月4日、同大学医学系研究科 微生物学分野の押谷仁教授、岡本道子助教らのグループが、急性呼吸器感染症の原因ウイルス株を解析し、エンテロウイルス68型(EV68)の抗原性および受容体結合性を解明したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
同研究グループはEV68の流行および重症化に影響する可能性のある受容体結合性および抗原性に着目。受容体結合性の解析にはグリカンアレー法を用い、抗原性解析には近年流行したEV68ウイルス株に対する抗血清を作成するとともに、作成抗血清を使用して赤血球凝集阻止試験(HI 試験)および中和試験(NT 試験)を行ったという。
抗原性の異なる株の出現により流行している可能性も
この受容体解析の結果、ウイルス株の検出年に関わらず、解析に使用した全ての EV68 が下気道に分布するα2-3 結合型シアル酸糖鎖よりも上気道に分布するα2-6 結合型シアル酸糖鎖に高い結合性を有することが明らかになったという。また、抗原性解析の結果、近年検出されたEV68分離株は1962年に検出された初代分離株と大きく異なる抗原性を持っていること、近年流行したウイルス株間でも抗原性に多様性があることが明らかになった。
これらにより、近年のEV68流行には抗原性の異なる株の出現が関与している可能性が示され、EV68がα2-6結合型シアル酸糖鎖への結合により上気道親和性を持つ可能性が初めて明らかとなったとしている。(小林 周)
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/