■薬価下げ財源でさや当て
2014年度診療報酬改定の答申を受け、中央社会保険医療協議会の診療側委員、支払側委員は12日に記者会見を開き、改定論議を総括した。今回、薬価引き下げ財源が診療報酬本体に充当されなかったことをめぐって、診療側は「極めて遺憾」と不快感を示す一方、支払側は高く評価し、本体との切り離しを継続するよう期待感を示した。
診療側は、日本医師会の鈴木邦彦常任理事が「メリハリのある改定となった」としつつ、急性期の7対1病床の削減により、「大幅な変化に医療現場の混乱がないよう注視し、しっかり改定の影響を検証していきたい」と述べた。
中川俊男副会長は、今回の改定で薬価引き下げ財源が診療報酬本体に充当されなかったことについて、「極めて異例のこと」と不快感を示し、次期改定では本体に充当するよう活動を強めていく考えを示した。
日本薬剤師会の三浦洋嗣副会長は、妥結率50%以下の保険薬局が調剤基本料の減算対象となることについて、「(薬局における)医薬品の平均在庫を考えると、薬価改定の約半年後に、ある程度妥結するのが一般的と考えている」とし、「(減算の)影響はそれほど大きく及ぶと想定していない」との認識を示した。
■消費税対応「納得できない」
一方、支払側は、健康保険組合連合会の白川修二専務理事が「消費税対応分を含め、プラス改定になったことは非常に残念」としつつ、「薬価引き下げ分を本体改定の財源に充当しなかった点については高く評価している」と総括。「次回以降も踏襲すべき」と期待感を示した。
薬価制度改革、調剤報酬改定にも言及し、長期収載品の追加引き下げや後発品の価格帯集約、妥結率が低い医療機関、保険薬局への対応、大型門前薬局への対応等、適正化が打ち出されたことを評価した。
ただ、消費税8%引き上げに伴う診療報酬上の対応については、「ほぼ全額が基本診療料に配分される裁定となった。基本方針に反する裁定であり、到底納得できるものではない」と強い不満を表明した。
矢内邦夫氏(全国健康保険協会東京支部長)も、「これからの人口構造変化に則した医療供給体制の望ましい姿に向け、明確な方向性が示された内容」と総括。後発品の使用促進についても言及し、「引き続き検討していかなければいけないことも多いが、全体としてはわれわれの考え方がかなり盛り込まれた」と満足感を示した。
花井十伍氏(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、医薬品のイノベーション評価に触れ、「本当に患者が救われる医薬品が評価されることが求められると思う。今回の薬価制度改革では、新薬創出等加算の制度化は先送りになったが、やはり患者のためになるものに対してコストが投入されてほしい」と要望。次期改定に向け、費用対効果評価を含めた議論を課題と位置づけた。