腰痛に悩む人はとても多く、痛みから解放されるための様々な方法が模索されています。中でもブロック注射といわれる方法は、手術は避けたいけれども、痛みが強い人たちの間で使われることがあります。ブロック注射では、痛みを抑える麻酔薬と、炎症を抑えるステロイドが主に使われます。
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長い間、信じられてきたステロイドの効果ですが、米ジョンホプキンス病院の研究で、思いがけない結果が示されました。過去に行われた43件の研究データ、のべ3,641人分を分析したところ、ブロック注射は、それがステロイドであれ他の薬剤であれ、痛みのある部分に近い筋肉に痛み止めの注射をする方法の2倍もの効果があることが分かったのです。
言い換えれば、ステロイドが特別に効いていたわけではない、という可能性に、研究チームは注目しています。ステロイドそのものよりも、物理的に硬膜外に液体が注入されることで、痛みを和らげる効果が出ている可能性が強いとしています。
ステロイドは、良い効果も多く見られてきましたが、副作用が強いことも気になる薬剤です。実際に腰痛に対するステロイドを用いたブロック注射では、女性では骨が弱くなってしまったり、糖尿病の患者さんでは血糖値が上がってしまったりと、深刻な副作用も報告されていました。
今後、さらなる調査が進み、副作用の少ない薬剤で、効果的に痛みを和らげる方法が開発されることが期待されています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Epidural Injections for Spinal Pain: A Systematic Review and Meta-analysis Evaluating the “Control” Injections in Randomized Controlled Trials
http://journals.lww.com/anesthesiology/
Need Steroids? Maybe Not for Lower Back Pain
http://www.hopkinsmedicine.org/news/media/releases/