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明治薬科大学、附属薬局を開設―OTCで地域健康拠点に

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2014年02月10日 AM09:45

明治薬科大学は、今月24日に東京都東久留米市に附属薬局(写真上)をオープンする。収益を目的としない大学の付随事業として、薬学教育を実践しながら地域に根ざした薬局づくりを目指す。地域住民の健康管理ステーションと位置づけ、保険調剤のみならず、在宅医療や抗癌剤調製を手がけると共に、OTC薬も積極的に取り扱い、セルフメディケーションを進める。薬局長に就任した石井文由教授は、「全国的な薬局実習のモデルにしていきたい」と意欲を語っている。

石井氏

附属薬局は、清浄度の高い無菌製剤室や抗癌剤の調製を行うハザード室を設置し、在宅医療に取り組み、OTC薬に関する助言、健康相談、情報提供を通じたセルフメディケーションも推進する。また、地域住民が最新の測定機器を使い、定期的に健康管理を行える健康管理室や学生による情報発信のコーナーを設け、地域に根ざした薬局づくりを目指す。

最大の特徴は、収益を目的とせず、文部科学大臣の認可を取得した大学の付随事業であること。現場で実践能力の高い薬剤師を育成するため、学生の実務実習等の教育研修施設として運営するのが狙いだ。

ただ、処方箋なしに附属薬局の運営ができないのも事実。石井氏は「いろいろ不備がある処方箋や疑義照会等は、生きた処方箋が来なければ学ぶことはできない。収益を目的としないとはいえ、収支が釣り合う努力をしながら、教育を中心にやっていきたい」と話す。

既に同大は、4年制教育時に薬局実習を必修化し、6年制教育に移行後は、11週間の実習後さらに15週間の実習を行う「地域医療コース」を新設するなど、薬局への就職を重視したカリキュラムを実施してきた。こうした中、質の高い薬局実習をモデル化するためには、大学教員が指導して薬剤師を育成することが必須と判断。約10年の構想を経て、附属薬局の設置を決めた。

附属薬局では、現場の薬剤師と共に、薬局で勤務経験のある3人の実務家教員が専任で学生の指導に当たる。石井氏は「実習先の薬剤師は、現場で自分の実務も抱えている中で教えなくてはならないが、大学教員が専任で指導するのでは全く違う。理想的な教育と地域医療の形を作り上げ、全国的な薬局実習のモデルにしていきたい」と意気込みを語る。

その上で、石井氏は「薬剤師法第1条に明記されている調剤、医薬品の供給、その他薬事衛生をつかさどるという三つの機能をバランス良く取り入れていきたい」と方向性を示した。

厚生労働省は、1月21日付で日本医療薬学会がまとめた報告書「薬局の求められる機能とあるべき姿」の活用を通知し、かかりつけ薬局機能の強化の取り組みを促した。石井氏は「われわれの附属薬局には、その考え方が全て盛り込まれている」と強調。「これからは、健康な人たちを病気にさせないことが最も大切。昔の町の薬局のように、地域住民が気軽にいつでも立ち寄れるようにしたい」と話す。石井氏も薬局長として、自ら地域住民の健康相談に応じていく考えだ。

同大は、附属薬局の開設に当たり、地元の清瀬市、東久留米市、東村山市、小平市、西東京市の多摩5市で構成する「西武薬剤師会」と包括連携することで合意。地域薬剤師会の支援を得て、スタートできることになった。石井氏は、「大学の附属薬局があるからこそ、薬剤師会も強いという地域にしていきたい」と意気込む。将来的には、大学と薬剤師会がスクラムを組み、地域医療に貢献していくモデル作りが大きな目標だ。

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