従来の初期化方法とは異なる
独立行政法人理化学研究所は1月29日、動物の体細胞における分化の記憶を消去し、万能細胞へと初期化する原理を発見したと発表した。従来の核移植や遺伝子導入などの初期化方法とは異なり、短期間で効率よく万能細胞を試験管内で作成できるという。
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この研究成果は、理研発生・再生科学総合研究センター 細胞リプログラミング研究ユニットの小保方晴子研究ユニットリーダーを中心とする研究ユニット、同研究センターの若山照彦元チームリーダー(現 山梨大学教授)、アメリカ・ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授らの共同研究グループによるもの。
画期的で幅広い貢献が期待される
今回、同共同研究グループはマウスのリンパ球などの体細胞を用い、体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除され「初期化」し、多能性細胞へ変化することを見いだした。この多能性細胞は胎盤組織へ分化する能力も有し、ごく初期の受精胚に見られるような全能性に近い性質を持つことも示唆されたという。
同研究グループはこの初期化現象を「刺激惹起性多能性獲得=STAP(スタップ)」、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けた。プレスリリースでは、
STAPの発見は、細胞の分化状態の記憶の消去や自在な書き換えを可能にする新技術の開発につながる画期的なブレイクスルーであり、今後、再生医学のみならず幅広い医学・生物学に貢献する細胞操作技術を生み出すと期待できます。(独立行政法人理化学研究所 プレスリリースより引用)
と述べている。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/