網膜色素変性症とは、遺伝性の目の病気です。目にはたくさんの視細胞が集まっていて、それぞれが光を受けることにより、ジグソーパズルが組み合わさるように像を結び、ものが「見える」ようになります。
(この画像はイメージです)
網膜色素変性症では、正常に働かない視細胞があることで、その部分の像が結ばれないようになります。ちょうどジグソーパズルのピースがいくつか無くなってしまうようなイメージです。
なくしたパズルのピースが一つや二つであれば、全体の絵を見ることができますが、なくしたピースが多くなると、絵の一部が見えなくなってしまいます。網膜色素変性症は、暗いところでものが見えにくい症状に始まり、視野が狭くなったり欠けたり、といった症状へと進み、最悪の場合失明することもあります。
これまでは、網膜色素変性症の検査は、眼底検査が主流で、これに自覚する夜盲の症状があることで診断がつくことが多かったそうです。
ところが昨年、米デューク大学のロン・ウェン博士らの研究によって、尿検査で網膜色素変性症を診断できることが分かりました。研究結果によるとドリコールという物質の割合が、遺伝的に網膜色素変性症にかかる可能性のある人では一般の人より高く、網膜色素変性症にかかっている人では、更に高くなるそうです。このことから、将来的にはこの方法を用いて、病気のリスクや、進行の度合いを測定できるようになると期待が集まっています。
尿検査で目の病気のことが分かるとは、なんだか不思議な感じがしますね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Aberrant dolichol chain lengths as biomarkers for retinitis pigmentosa caused by impaired dolichol biosynthesis
http://www.jlr.org/content/54/12/3516
New Urine Test Could Diagnose Eye Disease
http://today.duke.edu/2013/10/eyetest