緑に恵まれた環境は精神衛生に良いという論文が、専門誌 journal of Environmental Science & Technologyに掲載されました。うつをはじめとする心の病気は、世界中で深刻な健康障害をもたらしています。
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緑が心の健康にもたらす影響は、感覚的に知っているという人が多いものですが、実はこの影響を長期的かつ科学的に追跡した調査報告はあまりありませんでした。今回、英国のエクセター大学のIan Alcock氏らによって発表されたレポートは5年間にわたる調査に基づいています。この調査報告によると、緑の多いところに行けば行くほど、心の健康度がアップするそうです。
調査対象は1,064人。参加者は、これまでよりも緑の多いところに引っ越したグループ(594人)と、これまでよりも緑の少ないところに引っ越したグループ(470人)に分類され、引っ越し前から引っ越しの後までの心の健康について、情報を提供しました。
その結果、緑の多いところに引っ越した人は、直後から心の健康度がアップし、その状態は最低でも3年間続いていました。逆に、緑の少ない都会に引っ越した人では、引っ越しの前から心の健康度が一時低下し、引っ越しが終了すると1年くらいのうちに、引っ越し前のレベルに回復していく様子がうかがえました。
調査チームは、この結果をもとに、緑をできるだけ大きく取り入れた暮らしを提案すると共に、町づくりや住宅の設計では、屋上庭園や街路樹などを積極的に取り入れるなどの方法で、緑の多い環境を住民に提供できるような働きかけを推奨しています。緑のある暮らし、あなたも見直してみてはいかがですか?(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Longitudinal Effects on Mental Health of Moving to Greener and Less Green Urban Areas
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/