ヒトiPS/ES細胞から高効率で分化させる化合物を発見
京都大学iPS細胞研究所CiRAは1月17日、荒岡利和研究員(京都大学CiRA)、長船健二准教授(京都大学CiRA、JSTさきがけ)らの研究グループが、大規模なスクリーニング系を用いてヒトiPS/ES細胞を中間中胚葉へと高効率に分化させる物質を同定したことを発表した。
この研究成果は、米国東部時間1月15日付の「PLOS ONE」にオンライン公開されている。
(画像はプレスリリースより)
従来法と比べ、コスト低減にも期待
腎臓の細胞のほとんどは中間中胚葉から分化するため、腎臓再生には、ヒトiPS/ES細胞から中間中胚葉へ効率良く分化させる技術の開発が必要である。
同研究グループは、ヒトiPS/ES細胞で効率良く遺伝子の相同組み換えを起こさせる技術を確立し、ヒトiPS細胞で中間中胚葉の分化マーカー遺伝子に緑色蛍光タンパク質を導入することに成功した。それにより中間中胚葉へ分化したことがわかるシステムを構築したという。
このシステムを用いてiPS/ES細胞から中間中胚葉へ高効率で分化させる化合物を探索した結果、2つのレチノイド(AM580およびTTNPB)が効果的であることが明らかにされた。
プレスリリースでは、
この研究成果は、iPS/ES細胞から腎臓の細胞へと分化誘導する際に、成長因子を利用する従来法と比べてコストを低減し、また安定した分化誘導系となることが期待されます。(京都大学iPS細胞研究所CiRA プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学iPS細胞研究所CiRA プレスリリース
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/