医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 武田薬品 悪性リンパ腫治療剤・アドセトリスの製造販売承認を取得

武田薬品 悪性リンパ腫治療剤・アドセトリスの製造販売承認を取得

読了時間:約 2分5秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年01月28日 PM12:30

希少疾病用医薬品指定、優先審査対象薬

武田薬品工業株式会社は1月17日、同社の悪性リンパ腫治療剤「(R)点滴静注用50mg」(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え))について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表した。適応症は、再発・難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および再発・難治性のCD30陽性未分化大細胞リンパ腫である。

アドセトリスは、CD30抗原を標的とする抗体と細胞分裂における重要な役割を担うタンパク質である微小管の阻害作用をもつ低分子薬剤(モノメチルアウリスタチンE:MMAE)を、シアトルジェネティクス社が特許を持つ技術を活用し、リンカーで結合させた抗体薬物複合体である。

この複合体は、血中では安定し、CD30抗原が発現した腫瘍細胞にのみ選択的に作用。腫瘍細胞内に取り込まれた後、タンパク質分解酵素によってリンカーが切断され、MMAEを放出する仕組みとなっている。放出されたMMAEは、微小管を阻害することで細胞分裂を停止させ、がん細胞の増殖を抑制するという。同剤は、2012年3月に希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査の対象となっていた。

(画像はwikiメディアより引用 Author:Nephron

海外におけるブレンツキシマブ ベドチンの承認状況

ブレンツキシマブ ベドチンは、米国では2011年8月に、自家造血幹細胞移植後の再発または難治性のホジキンリンパ腫、または自家造血幹細胞移植が適用とならない場合で少なくとも2回の多剤併用化学療法施行後の再発、または難治性の再ホジキンリンパ腫、および少なくとも1回の多剤併用化学療法施行後の再発、または難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫の2つの適応症で、米国食品医薬品局(FDA)からの迅速承認を取得している。カナダにおいても、同じ2つの適応症で2013年2月、カナダ保健省による承認が取得された。なお、米国・カナダではシアトルジェネティクス社が販売を行っている。

欧州においては、2012年10月に、自家造血幹細胞移植後、または自家造血幹細胞移植や多剤併用化学療法が適応とならない場合で少なくとも2種類の治療を施行した成人の再発・難治性CD30陽性ホジキンリンパ腫、および成人の再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫の適応で、欧州委員会(EC)による販売承認が取得されている。この欧州を含む米国、カナダ以外の地域における販売は、武田薬品工業が行っているという。

標準治療法が確立していない同疾患患者の新たな治療選択肢に

今回の日本国内における承認取得は、再発・難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および再発・難治性のCD30陽性全身性未分化大細胞リンパ腫を対象とする、国内実施の臨床第1/2相試験、および海外実施の臨床第2相試験で得られた良好な結果に基づいている。

通常、成人にはブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注して用いる。なお用量は患者の状態に応じ、適宜減量することとされている。

武田薬品工業では、今回承認を取得したアドセトリスが、標準治療法がいまだ確立していない再発・難治性のホジキンリンパ腫および再発・難治性の未分化大細胞リンパ腫の患者に対し、新たな治療選択肢を提供できるものとなることを期待するとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

武田薬品工業株式会社 ニュースリリース
http://www.takeda.co.jp/news/2014/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 新たにオンコロジー領域に注力し「2031年までに年平均成長率8%を目指す」‐GSK
  • シベプレンリマブ、IgA腎症P3試験で主要評価項目を達成-大塚製薬
  • チルゼパチド、肥満症の日本人対象P3試験で有意な体重減少効果-リリー
  • エブリスディ2年データ、SMA小児の多くが独立歩行可能となったことを示す-ロシュ
  • 点滴ライン整理用の「カラフルホルダー」開発、ワンタッチで長さ調節可-東北大ほか