米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載
東京大学 分子細胞生物学研究所 発生分化構造研究分野・堀越正美准教授と東北薬科大学 生命科学系 生化学教室・関政幸教授(共同研究者)らの研究グループは、複数のマルチサブユニット複合体に共通に存在するタンパク質(共通サブユニット)の働きを解析する方法(FALC法)を開発し、共通サブユニットの個々の複合体中の働きを解明することを可能にしたと発表した。
今回の研究結果は、タンパク質機能解析における大きな成果と言え、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に現地時間2013年12月26日付で掲載された。
(画像はwikiメディアより引用)
マルチサブユニット複合体・共通サブユニットとは
生体内には、数多くの異なるタンパク質から構成されるマルチサブユニット複合体が存在する。例をあげると、DNAの読み取り装置であるRNAポリメラーゼやリボソームなどである。また、複数のマルチサブユニット複合体には、共通サブユニットが存在することも知られているが、共通サブユニットの働きを解析する方法はこれまで確立されていなかった。
共通サブユニット複合体の機能解析における半世紀間の問題を克服
今回研究グループが開発した、共通サブユニットの解析方法(FALC法)とは、2種類の異なるヌクレソーム(複合体)に共通するサブユニットを別々のサブユニットにつなげて2種類の融合タンパク質を作製し、融合タンパク質の状態で共通サブユニットに変異を導入する、というものだ。これにより、個々のヌクレソームにおける共通サブユニットの働きが明らかとなった。
これは、共通サブユニットの機能解析における一般的な方法となり得るため、今後あらゆる研究対象領域で働くマルチサブユニット複合体の共通サブユニットの機能解析に役立つものと期待される。共通サブユニットの発見から半世紀、未解決だった課題を解き明かすための第一歩が記されたと言えるであろう。(鈴木ミホ)
▼外部リンク
東京大学 プレスリリース
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/