日本災害医療薬剤師学会の増田道雄副会長(茨城県薬剤師会副会長)は18日、都内で開かれた第3回学術大会で大会長講演し、東日本大震災の支援活動を踏まえ、災害薬事コーディネーターとして「災害対応ができる専門薬剤師が必要」と強調。全国で養成プログラムを共通化し、組織的に養成していくことが必須と訴えた。
増田氏は、東日本大震災の経験を踏まえ、「毎回、支援体制が整備されないことが繰り返されてしまう」と反省点を指摘。被災地の状況や交通手段、支援医薬品の確保をはじめとする課題を挙げた。
薬剤師の支援が求められる時期は、災害の発災から超急性期とした上で、東日本大震災では、慢性疾患を持った大量の避難者、服用薬の鑑定、限られた支援医薬品、多様なGE薬等の状況があったと指摘。「これまでの薬剤師支援では、被災地入りが遅く、専門薬剤師がいなかった」と述べ、発災時から超急性期の対応は専門チームが担い、その後はボランティアや日本薬剤師会、日本病院薬剤師会等の組織が担うべきとの考えを示した。
実際、東日本大震災では非常に災害が広範囲に及び、道路の通行規制やガソリン確保の問題等が立ちはだかったことから、薬剤師支援の初動が遅れた。
増田氏は、災害時の薬剤師による初期活動の課題として、人集めが困難で組織がない、災害対応の専門薬剤師がいないことを挙げ、「事前に組織ができていれば、早く状況を立て直せる」と強調。被災地で医薬品を取り扱える災害専門薬剤師を養成し、災害薬事コーディネーターとして活動できるよう体制整備を訴えた。
現在、静岡県、高知県、徳島県、北海道等の各地で災害薬事コーディネーターとしての薬剤師養成が進められており、日本災害医療薬剤師学会でも、災害対応のできる専門薬剤師を養成するため、災害医療支援薬剤師研修コースを設置している。
増田氏は「できれば、専門薬剤師の養成は統一した内容で研修を行い、被災地での活動のフォームも統一すれば災害時に役立つのではないか」と述べ、薬剤師養成プログラムの統一化を提言した。