高頻度・同疾患特異的にG17V変異
高齢者に発症頻度の高い特定の悪性リンパ腫において、RHOA遺伝子が合成を指定している蛋白質の一ヶ所(17番目のアミノ酸)が極めて高頻度、同疾患特異的にグリシンがヴァリンに変異していること(G17V変異)が明らかにされた。
(画像はプレスリリースより)
この研究成果は、筑波大学医学医療系の千葉滋教授、坂田麻実子准教授、京都大学医学研究科の小川誠司教授らからなる共同研究グループによるもの。「Nature Genetics」のオンライン版に1月12日付で掲載されている。
G17V変異により細胞の制御機能が喪失
研究グループは、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫と分類不能末梢性T細胞リンパ腫の患者の腫瘍組織、及び正常細胞から抽出したDNAを用いてゲノム解析を実施。その結果、G17V変異によってRHOA遺伝子が持つ細胞の運動や生死などを制御する機能が失われることを立証し、このことが濾胞性ヘルパーT細胞由来リンパ腫の発症に関わることを明らかにしたという。
さらに、これらの悪性リンパ腫患者では、正常に見える骨髄細胞や血液細胞においてRHOA以外の2つの遺伝子(TET2およびDNMT3A遺伝子)で、機能喪失型の変異が高頻度で生じていることも発見したという。
この発見は、これまで不明だった末梢性T細胞リンパ腫の一部について、その発症の成り立ちと、特異的なゲノム異常という重要な新知見を与えるものである。また、同疾患の診断に画期的な方法を提供するとともに、RHOA関連分子を標的とする新規治療薬の創出が期待できるとしている。(小林 周)
▼外部リンク
筑波大学 プレスリリース
http://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/p201401130300
Somatic RHOA mutation in angioimmunoblastic T cell lymphoma
http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/