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日本薬学会、6年制大学院支援で新制度―返済なし奨学金、来年4月開始

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2014年01月20日 AM09:51


■初年度2000万円

日本薬学会は、薬学部6年制の大学院博士課程(4年制)に進学する大学院生を支援するため、新たな基金制度「長井記念薬学研究奨励支援」を立ち上げることを理事会で決めた。返済義務のない奨学金として、来年4月からの制度開始を視野に入れる。28日に準備委員会の初会合を開き、具体的な検討を始める。事業規模は、初年度で2000万円、制度開始3年後に6000万円を目指し、6年制大学院博士課程に進学する全国の薬学部大学院生を総合的に支援したい考えだ。

薬学部6年制の大学院4年制博士課程がスタートしたが、これまで基礎研究能力の低下が危惧され、文部科学省の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」等でも、薬学部に併設される薬科学科(4年)+大学院博士前期課程(2年)+博士後期課程(3年)とは違い、6年制博士課程にふさわしい教育・研究が実施できるかどうか懸念が示されてきた。

こうした中、日本薬学会では昨年、柴崎正勝会頭の就任に当たって、基礎薬学研究の水準低下に歯止めをかけるための対策として、6年制大学院博士課程の大学院生に経済的支援を行う制度を検討する方針を表明していたが、このほど正式に理事会で「長井記念薬学研究奨励支援」の制度立ち上げを決めた。

新たな制度は、返却する必要のない奨学金として、日本薬学会長井記念館の建設に伴う借入金の返済完了を視野に、賃貸料収入を原資に充てる方向。初年度は2000万円、その後毎年2000万円を拠出し、制度開始3年後に6000万円の事業規模を目指す。

薬学会は10日、内閣府の公益認定等委員会から、公益目的事業の「研究奨励・表彰」に「大学院生等のための研究奨励」を新たに追加する変更が認められ、内閣総理大臣に答申された。これを受け、28日には制度創設に向けた準備委員会の初会合を開く予定だ。

委員会の委員は10人で構成し、5人は私立大学から選出した。委員長には、次期会頭の太田茂副会頭(広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)が就任し、来年4月からの制度開始を視野に、大学院生1人当たりの支援額等、具体的な検討を進める。

今回の新制度は、特定の大学に集中的な支援を行うのではなく、全国の6年制大学院の博士課程で大学院生が研究に没頭できるよう、総合的に幅広く支援していくのが狙い。

当面は、基金の原資を6年制大学院博士課程の充実のために振り向けるが、将来的には、4年制大学院博士課程の「4+2+3」への支援も視野に入れていきたい考えだ。

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