多くの国際団体が撤退
国境なき医師団(MSF)は1月7日、南スーダンの状況について、情勢不安によって援助ニーズが高まる一方で、多くの国際団体の撤退により援助は縮小していると指摘した。元々過酷だった状況が、国内の広い範囲での戦闘の発生により、さらに悪化しているという。
活動中の援助団体を取り巻く安全状況も悪化している。多くの国際団体が撤退する中、MSFは援助継続に努めるとともに、紛争の全当事者に対して、医療施設やスタッフを尊重すること、出自や民族の別なく医療を受ける機会を保障するよう求めている。
(画像はプレスリリースより)
病気流行のリスク高まる
2013年12月に戦闘が発生する以前から、南スーダンは保健医療と基礎的社会サービスの80%をNGOに依存していたという。国民が医療を受ける機会は限られており、妊婦の大多数は医療施設で分娩できず、子供の大部分は医療機関の受診や予防接種を受けることができていなかった。
難民に提供される援助も最低限のものにとどまっており、病気流行のリスクが上昇している。特に、妊婦および子供に対する迅速かつ安全な対応が必要であり、このまま医療支援が戦闘に阻まれ続ければ、人々の健康状況は急激に悪化するものとみられる。
11万人余りの難民に医療支援
MSFは現在、首都ジュバ・レイク州アウェリアル・上ナイル州マラカルにて緊急対応チームが活動しており、戦闘を逃れてきた難民11万人余りに医療支援を行っている。また、こうした緊急対応とは別に、情勢不安と治療薬・燃料の不足などに脅かされながらも、需要の高い通常の医療プログラムも国内の可能な限りの場所で提供を続けているという。
この3週間で合計26,320件の診療を行い、1,014人を医療施設に受け入れ、426人の銃創患者を治療し、126件の手術を行った。医療物資等に関しても、40トン以上を活動地に補給したとしている。(鈴木ミホ)
▼外部リンク
国境なき医師団日本 プレスリリース
http://www.msf.or.jp/news/detail/