■分割調剤施行は削除
中央社会保険医療協議会は15日、2014年度診療報酬改定の基本方針や改定率について、田村憲久厚生労働相から諮問を受け、これまでの議論の整理を改定の骨子としてまとめた。地域の薬局と連携しても夜間・休日に調剤できる体制を整えていれば算定できる「基準調剤加算」の要件を見直し、薬局自らの対応を原則とすることや、薬剤師の病棟業務の評価充実、大規模薬局の調剤報酬の適正化などを盛り込んだ。また、残薬を減らすため、特定機能病院等の大病院から長期処方された薬剤を原則として薬局が分割調剤し、2回目以降は主治医と連携して必要量を調剤する対応を試行導入する案も示されたが、支払、診療の両側委員から「議論が十分でない」などの意見が相次ぎ、骨子から削除することになった。
骨子で重点課題に位置づけられた在宅医療では、在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、在宅業務に十分に対応している薬局の評価を行うとした。
ただ、これまで地域の薬局との連携でも夜間・休日に調剤できる体制を整えていれば算定できる「基準調剤加算」については、「地域の薬局との連携を図りつつ、薬局自らの対応を原則とし、24時間調剤および在宅業務を提供できる体制等を考慮して、基準調剤加算の算定要件を見直す」ことを提案。
マンションなど同じ建物で同じ日に複数の患者に在宅薬剤管理指導業務を行った場合に、在宅患者訪問薬剤管理指導の適正化を行う考えも示した。
現行の調剤報酬では、無菌調剤室を共同利用した場合に算定することができない「無菌製剤処理加算」を算定可能にするほか、加算の評価対象に麻薬を追加すると共に、乳幼児に対する加算の評価を充実することを盛り込んだ。
また、薬剤師による一層の在宅患者訪問薬剤管理指導が求められていることを踏まえ、診療報酬と調剤報酬の在宅患者訪問薬剤管理指導の算定要件をそろえる。
充実が求められる癌領域では、癌患者に対する精神的なケアや抗癌剤の副作用管理等の重要性を踏まえ、患者の継続的な管理指導に対する評価を新設する。
外来化学療法加算の対象となる投与方法の拡大に伴い、一部の薬剤が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤にも含まれるなど、対象薬剤が不明確との指摘があることを踏まえ、評価のあり方について見直しを行うとした。
■後発品対策も盛込む
お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価見直しや、薬剤服用歴管理指導料を算定する際に行っていた、服薬・残薬状況の確認、後発品使用に関する患者の意向確認のタイミングを、調剤前の処方箋受付時に行うよう見直す。
DPCでは、後発品の使用割合に着目した評価の検討も盛り込んだ。データ提出指数、効率性指数など6項目で評価している「機能評価係数II」に、後発品の使用割合による評価方法である「後発品指数」を新たに導入する。
療養病棟や精神病棟で薬剤師が4週間以降も継続して病棟薬剤業務をしていることを踏まえ、病棟薬剤業務実施加算の評価を充実する。
効率化分野では、「後発医薬品調剤体制加算」の要件の調剤割合を見直し、後発品調剤率が高い方により重点を置いた評価とするほか、同加算にロードマップの新指標を用いることを提案。後発品の調剤量が少ないにもかかわらず、新指標の数量シェアが高くなる品目に偏りのある薬局は加算対象外とする考えも示した。
また、処方箋枚数や特定の医療機関からの処方箋による調剤の割合に着目し、門前薬局の評価を見直す。ただ、24時間調剤が可能な保険薬局については、適正化から除外する。妥結率が低い病院と薬局の評価の適正化も検討する。
中医協は今後、パブリックコメントや地方公聴会で医療現場や国民の意見を聴き、今月下旬から個別の点数配分の議論に入る。