潰瘍性大腸炎、クローン病を対象とした2つの臨床試験開始
武田薬品工業株式会社は1月8日、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬であるvedolizumab(一般名、開発コード:MLN0002)について、日本における2つの臨床第3相試験を開始したことを発表した。
対象は、中等度から重度の潰瘍性大腸炎・クローン病。導入療法および維持療法におけるvedolizumabの有効性・安全性、薬物動態を検討する。試験は多施設共同、無作為化、二重盲検並行群間比較試験の形式で実施し、主要評価項目は、導入期における10週目の改善率、および維持期における60週目の寛解率となっている。
(この画像はイメージです Flickr : Ed Uthman)
炎症性腸疾患の二大疾患における新たな治療選択肢の創出へ
vedolizumabは、炎症性腸疾患の二大疾患である潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療薬として開発中のヒト化α4β7インテグリンモノクローナル抗体。潰瘍性大腸炎やクローン病における炎症発生プロセスに関与するとされる循環白血球のサブセットに発現するα4β7インテグリンは、消化管における血管やリンパ節に特異的に存在する細胞接着分子と結合、炎症反応を惹起することが分かっている。vedolizumabは、このα4β7インテグリンに特異的に結合し、その細胞接着分子への結合を阻害することで、特定のリンパ球の消化管細胞への浸潤を防ぐことができるという。
潰瘍性大腸炎およびクローン病は、いずれも多くの研究者により、外的な環境要因、遺伝子や体内免疫システムとの相互作用で引き起こされるものとの指摘がなされているが、正確な原因はいまだ不明であり、治療薬では、寛解の達成、維持、あるいは症状のない期間を延長することが目指される。
武田薬品工業では、このvedolizumabについて、成人の中等度から重度の潰瘍性大腸炎およびクローン病を適応症とする販売許可申請を昨年3月、欧州医薬品庁(EMA)に、また同年6月には生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に対し、提出している。(紫音 裕)
▼外部リンク
武田薬品工業株式会社 ニュースリリース
http://www.takeda.co.jp/news/2014/