阪大、味の素と共同で
京都大学 iPS細胞研究所 CiRAは1月8日、中川誠人講師、山中伸弥教授らの研究グループが、細胞移植治療に適した人工多能性幹細胞(iPS細胞)の新しい樹立・維持培養法を確立したことを発表した。
(画像はプレスリリースより)
この成果は大阪大学、味の素株式会社との共同研究によるもので、イギリスの科学誌「Scientific Reports」に1月8日付で掲載された。
これまでの方法は多工程
多くの患者がヒトのiPS/ES細胞を再生医療として利用できるようになるには、ヒト以外の動物由来の物質を含まず、工程数が極力少ない方法でiPS細胞を樹立・維持培養することが望まれる。
これまでの方法は、iPS/ES細胞を培養する培地中に血清などの動物由来の成分が含まれており、また、フィーダー細胞を使うことで作業工程が多くなっていた。
ラミニン-511を用いて
研究グループは、フィーダー細胞の代わりとしてラミニン-511に注目。大阪大学蛋白質研究所の関口清俊教授らが開発したリコンビナント ラミニン-511 E8断片を用い、味の素と開発した動物由来の成分が含まれていない培地で、ヒトiPS/ES細胞を維持培養できることを見いだした。
この方法は、ヒトへの細胞移植に最も適したグレードのiPS細胞をつくるためだけでなく、創薬や毒性実験、疾患モデルなどの領域でも有効利用されることが期待できるとしている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学 iPS細胞研究所 CiRA プレスリリース
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/140108
A novel efficient feeder-free culture system for the derivation of human induced pluripotent stem cells
http://www.nature.com/srep/2014/140108/